イタリアの大手再生可能エネルギー企業Enelがベトナムから撤退
イタリアの再生可能エネルギー企業Enelがベトナムから撤退する準備を進めている。この動きは、同じくヨーロッパの企業であるEquinorやOrstedが行った決定に続くものであり、ベトナムにおける再生可能エネルギー開発の困難さを浮き彫りにしている。
Enelは2022年に、ベトナムで大規模な再生可能エネルギーを生産する発電所への投資意向を示していたが、具体的な計画は未定であった。現在、撤退に関する具体的な時期は不明で、Enelとベトナム商工省はこの件についてコメントを控えている。専門家によると、Enelの撤退はベトナムのエネルギー戦略に新たな打撃を与える可能性がある。
ベトナムは再生可能エネルギーやガス発電への投資を強化し、石炭依存を減らすことを目指しているが、この撤退はその努力の後退を意味する。最近、ノルウェーのEquinorが洋上風力発電への投資計画を撤回し、デンマークのOrstedも大規模な洋上風力発電所への投資計画を一時停止したことが報じられている。ベトナム政府は2030年までに設置済みの発電容量を約80GWから160GWに倍増させ、そのうち20%を風力発電から賄うことを目指している。
しかし、再生可能エネルギーの国の電力網への統合には多くの課題が残っている。特に規制上の障壁や支援メカニズムの不足が太陽光および風力プロジェクトの開発を妨げており、洋上プロジェクトにも影響が出ている。洋上風力発電に関する規制が整備されておらず、電力価格に関する長期的な交渉も進んでいないため、プロジェクトの遅延が生じている。
これらの障害は、ベトナムが増大するエネルギー需要に応えつつ目標を達成できるかどうかという懸念を高めている。最も深刻な結果として、短期的なエネルギー需要を満たすために石炭使用が増加しており、これは長期的な炭素排出削減目標に否定的な影響を及ぼしている。温室効果ガスの排出量増加や気候変動への対応という国際的なコミットメントにも悪影響が出る恐れがある。