はじめに
2025年から2034年にかけて、ベトナム全土において日本語を小学校3年生から高校3年生まで継続的に教育する新たな取り組みが正式に始動する。この方針は、2025年4月28日に、ベトナムの教育訓練大臣グエン・キム・ソン氏と在ベトナム日本国大使伊藤直樹氏との間で署名された「日本語教育に関する枠組み協定」に基づき実施されるものである。この署名は、両国の首脳であるファム・ミン・チン首相と石破茂首相の立ち会いのもとで行われ、両国間の教育協力の新たな一歩となった。

出所:https://vneconomy.vn/trien-khai-giang-day-tieng-nhat-o-cac-cap-hoc-pho-thong.htm
日本語教育に関する背景と経緯
ベトナムにおける日本語教育は、2003~2004年に中学校で第二外国語として試験的に導入されたことに始まる。その後、2016~2017年には一部の学校において第一外国語としても採用され、さらに2021年には正式なカリキュラムが策定され、日本語が第一外国語として小学校3年生から学べるようになった。しかし、これまでは主にハノイやホーチミンなどの都市部に限られた導入にとどまっていた。
今回の枠組み協定は、こうした日本語教育の成果をベースにしつつ、全国規模での拡大を目指すものであり、ベトナム全土の教育機関において、日本語を段階的に義務教育課程に組み込むことを可能にする。
一方、厚生労働省が2023年1月に報告した「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、前年の2022年10月の段階で外国人労働者数が1,822,725 人、前年比95,504人増加したと公表した。そのうちベトナム人は1位の約46万人いて、全体のおよそ4分の1を占める。この協力枠組みにより、これまで以上に多くのベトナム人労働者が日本に供給されることになる。
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