ベトナム統計総局によると、年初から8月までの消費者物価指数(CPI)は前年比3%強の上昇にとどまった。しかし、ホーチミン市の多くの世帯では実際の生活費が約30%増加したと訴えている。特に家賃、学費、水道光熱費、食品の値上げが負担を押し上げている。
統計専門家は、CPIと消費者の体感価格との乖離は世界的に共通する現象と指摘する。人々は食費や住居費、燃料費といった必需的支出に注目しやすいため、これらの価格変動が直ちに家計を圧迫する。結果として、非必需品やサービスの消費を削減し、社会全体の購買力低下につながるリスクがある。
専門家からは、全国一律のCPIではなく都市部と農村部に分けた詳細な物価指数の整備を求める声が上がる。さらに、電力や交通など独占的分野におけるコスト効率を政府が厳格に監視し、家計への負担軽減を図るべきとの提言もあった。
低いCPIは実質金利を維持し企業融資を下支えする一方で、家計収入が生活費の上昇に追いつかなければ購買力は回復しない。これは小売・サービス業にとって新たな挑戦であり、同時に消費抑制環境に適応した商品・ビジネスモデルを展開する好機でもある。
総じて、低いCPIという数字は実際の家計負担、なかでも必需的支出を正確に反映していない。これは経済全体の購買力を弱めかねるため、より正確な測定と実効性のある支援策が必要である。
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