2025年8月25日、アジア開発銀行(ADB)ベトナム国別代表シャントヌ・チャクラボルティ氏は、近年の世界的混乱にもかかわらず、ベトナム経済が著しい進展を遂げていると評価した。2024年の実質GDP成長率は7.09%と東南アジア最高水準を記録し、2025年上半期も前年比7.52%増と過去10年以上で最も高い伸びを示した。ADBの最新「アジア経済見通し」によれば、2025年の成長率は6.3%、2026年は6.0%と予測されている。
同氏は、成長を支えた要因として6点を挙げた。第1に、COVID-19や地政学的リスクに対する機動的な財政・金融政策運営である。第2に、輸出主導型の製造業と堅調な貿易であり、2025年1~7月の輸出は2,624億USD(前年比14.8%増)、輸入は2,522億USD(同17.9%増)、貿易黒字は101億USDに達した。第3に、外資直接投資(FDI)と公共投資の拡大であり、同期間のFDI実行額は136億USD(前年比8.4%増)、登録額は241億USD(同27.3%増)と過去最高を更新した。第4に、VAT減税などの財政刺激策により国内消費が底堅く推移した。第5に、包括的な制度改革の推進。第6に、開放的な貿易・投資政策の継続である。
一方で、今後の課題も多い。短期的には米中間の通商摩擦、ウクライナ危機、中東不安が外需を圧迫する可能性がある。中期的には物流コストを削減するためのインフラ整備、特に交通・エネルギー分野の改善が急務である。また、制度改革や資本市場育成、人材の高度化、グリーン経済・気候変動対応も長期的競争力の鍵となる。
ADBは今後、インフラ投資・制度改革・民間部門育成の3分野を重点支援領域と位置づけ、資金援助と技術支援を継続する方針である。特に中小企業や女性主導企業など包摂的成長の担い手への資金供給を強化し、ベトナムの持続的発展を後押しすることを表明した。
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