はじめに
皆さま、こんにちは。ONE-VALUE 株式会社の代表のホアです。
2025年は、ベトナム経済にとって節目の年になりました。GDP成長率8.02%は目標値(7.0〜7.5%)を大きく上回り、東南アジアでもトップクラスの成長を記録。名目GDPは5,137億米ドルに達し、一人当たりGDPも5,026米ドルと、ベトナムはついに「上位中所得国」の仲間入りを果たしました。工業・サービス業の比率が国内総生産の80%を突破し、経済構造そのものが高度化しています。
この数字が意味するのは、単なる「成長している国」から「消費・投資の主体として成熟しつつある市場」への転換です。今回は2025年の主要データを振り返りながら、2026年以降の展望と日系企業が狙うべきビジネスチャンスをお伝えします。
2025年ベトナム経済を読み解く10のポイント
まず行政面では、63省・市が34省・市へと大規模に統合・再編されました。統治効率の向上と行政コストの削減が狙いですが、現地でビジネスを行う企業にとっては許認可や手続きの窓口が変わる実務的な影響もあります。変化の初期段階では混乱も生じますが、中長期的には意思決定の一本化によりビジネス環境の改善が期待されます。
経済実態の面では、製造・加工業の付加価値成長率が過去5年で最高の10.6%を記録したことが際立ちます。単純な組み立て加工から電子製品・コンピュータなどハイテク分野への産業高度化が着実に進んでおり、輸出額は4,750億米ドル、輸入額は4,490億米ドルと貿易黒字は約260億米ドルに上りました。FDI(外国直接投資)も過去最高水準となる4,054件・実行済280億米ドルを記録し、ベトナムへの国際的な期待の高さが数字に表れています。
インフラ面では、ロンタン国際空港・南北高速道路・500kV南北高圧送電線など234件の大型プロジェクトが一斉に着工・完成したことが大きなニュースです。こうしたインフラの整備は今後の物流コスト削減や地方部への投資拡大を後押しします。デジタル経済も拡大を続けており、EC市場は310億米ドルに達し個人消費の約10%を占めるまでに成長。外国人観光客は過去最多の2,150万人を記録し、国内消費への波及効果も鮮明です。
制度面でも重要な変化がありました。政府の決議第68号により民間経済が初めて「最重要成長動力」として明確に位置づけられ、FTSE Russellによるベトナム株式市場の新興国市場への昇格も決定しました。市場の透明性と国際的な信頼性が高まることで、外資が安心して参入できる環境が整いつつあります。
2026年以降「社会課題」を起点に読む有望ビジネス
ベトナム政府は2026年以降に年率10%超のGDP成長という野心的な目標を掲げています。この成長を牽引するのは政府主導の公共投資だけでなく、民間消費の拡大と構造的な社会課題への対応です。弊社が特に注目するのは、以下の3つの領域です。
一人当たりGDP5,000米ドルを超えたことで、消費スタイルが大きく変わり始めています。スーパーやモールなどのモダントレードへの移行、EC需要の加速、食品の品質・安全性への関心の高まりに伴うコールドチェーン整備、そして廃棄物増加を背景としたリサイクル分野——これらはすべて、日本企業が培ってきたノウハウと高い親和性を持つ領域です。
所得向上に伴う生活習慣病の増加と急速な高齢化は、医療・介護・教育への需要を構造的に押し上げています。都市部では生活費の約47%が教育費に充てられるほど高学歴志向が強く、訪問介護・遠隔医療・インターナショナルスクールといった分野への投資余地は依然として大きく残されています。
さらに長期的な視点では、2050年カーボンニュートラル目標に向けた脱炭素分野が重要です。再生可能エネルギー・水素・バイオマス・EV関連インフラは、政府が力を入れる優先投資領域であると同時に、日本の技術・資本が活きるフィールドでもあります。脱炭素の流れは一過性のトレンドではなく、今後10〜20年にわたってベトナムのエネルギー・産業構造を変えていく構造的な変化です。
M&Aが最速の「市場参入ルート」になる時代
透明性が求められる新しいベトナム市場では、ゼロからの進出よりもM&Aを通じた参入が加速すると見ています。二重帳簿の慣行が薄れ財務情報が信頼できるものになることで、買収対象企業の評価精度が上がり、M&Aのリスクが下がります。既存の顧客基盤・ライセンス・人材・チャネルを持つ地場企業を取得することは、市場参入の時間とコストを大幅に圧縮する手段として、今後5〜10年で日系企業にとってますます現実的な選択肢となるでしょう。
ただし、M&Aで成功するためには候補企業の徹底的な調査と、現地の法制度・商習慣に精通したアドバイザーの存在が不可欠です。「成長しているから買う」ではなく、「リスクを把握した上で買う」——この差が5年後の明暗を分けます。
ONE-VALUEにご相談ください
弊社ONE-VALUEは、ベトナム市場参入の検討から M&Aの実行、参入後の事業拡大まで、現地に密着した専門チームが一貫してサポートします。2026年以降の新たなベトナムビジネスに向け、ぜひ以下のサービスをご活用ください。
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フィ ホア(ONE-VALUE 株式会社 代表取締役)
2008年、日本政府(MEXT)の国費留学生として来日。大阪大学大学院 経済学研究科経営学系を修了後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に入社。ベトナム事業拡大のリーダーに就任し、多くの日本企業のベトナム進出を成功に導く。約10年にわたる経営コンサルティング実務経験を有し、主な専門領域は再生可能エネルギー、木材製造、医療、IT、農業、教育等。2018年、ベトナムに特化した経営コンサルティング会社ONE-VALUE 会社を設立。日本とベトナムの経済・ビジネス関係の活性化、日本在住の外国人人材の生活向上という2つのビジョンを掲げています。
