ベトナム政府は、LNG火力発電プロジェクトにおける契約電力量(Qc)の政府保証比率を現行の65%から75%へ引き上げる案を検討している。これにより、投資家の収益安定性を高め、新規電力購入契約(PPA)の締結を加速させる狙いである。この政策はASEAN地域で最も優遇的な水準にあるとみられている。
現在、第8次国家電源開発計画(PDP8)に含まれる21件のLNG発電プロジェクトのうち、約25%が投資家未定の状態であり、半数以上が進捗遅延に直面している。代表的な案件として、ハイラン1(Hai Lang 1)、クアンニン(Quang Ninh)、カナ(Ca Na)などがあり、いずれも港湾・用地・インフラ接続の課題を抱える。
信用評価機関VIS Ratingは、保証率を75%に引き上げることで、キャッシュフローと収益性の改善が期待できると分析している。ただし、LNG発電は石炭火力や再生可能エネルギーに比べコストが高く、送電インフラや法的枠組みの整備が依然として大きな課題である。政府は、2035年までにLNG発電容量3万6,000MWの達成を目標としており、制度面での早期対応が求められている。
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