ベトナム企業が世界市場での存在感を高めている。軍事通信大手ベトテル(Viettel)は2006年にカンボジアで事業を開始し、その後ラオス、ハイチ、モザンビークなどへ展開、現在は約10カ国で数十億USD規模の国際収益を得ている。IT分野ではFPTが日本と米国を含む30カ国以上に進出し、両市場で年率30%超の成長を維持している。乳業大手ビナミルク(Vinamilk)は米国やニュージーランドに製造拠点を設け、国際売上比率を拡大させた。農業分野でもTHトゥルーミルク(TH True Milk)がロシアや中東で投資を進め、付加価値型の海外展開を志向している。
統計によれば、2024年のベトナム海外直接投資(OFDI)は6.65億USDに達し前年比57.7%増、累計22.59億USD・1,825件となった。2025年1〜7月には新規105件・3.99億USD、既存20件の増資・1.296億USDを記録した。分野は科学技術(30.2%)、製造業(21%)など高付加価値型に移行しつつある。OFDIは国内需要依存を減らし、先端技術の導入やグローバルサプライチェーン参画を可能にする戦略的手段と位置付けられる。
一方で課題も残る。多くの案件は小規模で、国際法理解や資金力に制約がある。制度面も不十分で、リスク保険や資金融資制度が整っていない。累計で依然鉱業(31%)や農業(15%)に偏重しており、ASEAN周辺国中心の投資から脱却できていない。これに対し、2025年5月に党中央が経済私有部門強化を打ち出し、投資促進制度の整備や法改正が検討されている。特に投資承認手続の簡素化によりベトナム企業は海外市場開拓を加速できる見通しである。2030年までに「資源依存型」から「高付加価値型」へ転換し、2045年には世界市場で競争力を持つ企業集団を育成することがベトナムの国家的な目標である。
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