2025年8月、ハノイで開催された「NetZero Việt Nam 2025」において、ベトナム国内外の専門家がベトナムにおける農業・廃棄物由来のカーボン事業の拡大可能性を報告した。発表を行ったのは、ベトナム企業Giant Barb(正式名:Công ty Cổ phần Khoa học và Môi trường Giant Barb)の専門家であるLê Quang Linh氏であり、農業副産物を利用したバイオチャー生産、養豚業の廃棄物からのバイオガス発電、埋立地ガスの回収発電、廃棄物焼却発電の4分野がベトナム国内で大きな成長余地を持つと指摘した。これらのプロジェクトは、年間数百万トン規模のCO₂排出削減が見込まれ、カーボンクレジット創出やベトナム国内電力供給の安定化に寄与する。特に、年間約1,500万トンCO₂を排出するベトナム養豚業からのメタン回収や、毎日6万トン発生するベトナム都市ごみの焼却発電は、温室効果ガス削減と同時に再生可能エネルギー供給の拡大につながる。また、ベトナム農業残渣の50%以上が野焼きされている現状を活用し、バイオチャーとして炭素を土壌に100年以上固定できる点は国際市場でも注目されている。実際に、ESG Climate Consultingによれば、すでに169件以上のバイオチャー関連カーボンプロジェクトが国際的に登録されており、その中にはベトナム企業による取り組みも含まれている。これらの事業は、ベトナムの豊富な農業資源や急増する廃棄物処理需要を背景に、脱炭素・エネルギー安全保障・ベトナム地域経済の活性化を同時に実現する意義を持つ。今後の課題は、ベトナム電力系統への接続枠、カーボンクレジット価格の安定性、ベトナム政府による事業認可手続きの迅速化である。ベトナム政府の電力計画PDP8やベトナム国内カーボン市場整備と連動することで、これらのプロジェクトは2030年の温室効果ガス削減目標達成に向けた重要な施策となる見通しである。
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