ベトナム保健省は、医療機器および検査用資材に関する国レベルの集中調達制度を導入する方針を示した。これは「一括調達対象リスト」を定める新たな通達草案に基づくものであり、質の高い医療機器を確保し、全国的に均一かつ効率的な利用を実現する狙いがある。
これまでベトナムでは、病院や医療センターがそれぞれ独自に医療機器を調達してきた。その結果、種類や技術水準にバラつきが生じ、品質管理や保守、技術移転に課題が残った。また、小規模での調達により価格交渉力が弱まり、国家予算や健康保険基金における無駄遣いの一因ともなっていた。さらに、煩雑な入札手続きが現場の医療機関に大きな行政負担を与え、透明性の欠如が不正の温床になるとの懸念も指摘されていた。
今回の草案では、20種類の医療機器・資材を対象に集中調達を行うと規定。対象には「眼内レンズ」「冠動脈ステント」「心血管用バルーンカテーテル」「輸液セット」「プラスチック注射器」「迅速検査キット」などが含まれている。これらはいずれも診療現場で広く使用され、患者の安全や治療効果に直結する物品である。
保健省は、通達の施行によって新たな行政手続きは発生せず、既存制度の枠組み内で調達対象を明確化すると説明している。集中調達によりコスト削減と価格の透明化が進み、全国の病院が同等レベルの医療機器を使用できる環境が整うと期待される。
さらに、制度改革は患者に対する安全性と診療の均質化を確保するとともに、国家予算の効率利用にもつながる。今後、保健省は関係機関との調整を経て通達を正式に発効させ、段階的に全国の医療機関へ適用していく予定である。
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