ベトナム物流の課題とEU連携の展望
ベトナム政府は、2025年までに高速道路3,000kmの整備やラオカイとハノイ・ハイフォンを結ぶ貨物鉄道、南北高速鉄道、タンソンニャット国際空港の第3ターミナル、ロンタイン国際空港など重要なインフラプロジェクトを推進している。これらはベトナム国内の経済活動を大きく促進すると期待されている。一方、ベトナム企業が直面する課題として、物流業界の分断化や物流コストの高さ、非効率な行政手続きが挙げられる。これらは競争力低下を招いている。
現在、ベトナム国内の物流業界は多くの小規模事業者が個別に活動しているため、最適化が困難でコストが増大している。そのため、物流コストが周辺国より高くなっており、行政手続きの遅延や官僚的手続きも企業の運営コストを押し上げている。しかし、現在進められているデジタル化は、リアルタイムの追跡、サプライチェーン管理の最適化、取引の透明性向上を通じて、これらの課題を改善する可能性を秘めている。
また、ベトナム政府の規制改革により、行政手続きの効率化、持続可能な産業支援が推進されている。欧州商工会議所(EuroCham)の輸送・物流小委員会(TLSC)は、通関手続きの簡素化やEVFTA(EU・ベトナム自由貿易協定)の原産地証明書(EUR.1)の迅速な導入を推進しており、通関手続きのデジタル化にも積極的である。
持続可能性への取り組みも重要なテーマである。EUの国境炭素調整メカニズムなど世界的な規制を背景に、ベトナム企業には環境配慮型の物流への移行が求められている。電気自動車の導入やエネルギー効率の良い倉庫などのグリーン物流の推進により、ベトナム政府が掲げる脱炭素目標への対応が可能になる。
さらに、電子商取引の急速な拡大に伴い、越境物流のニーズが増加し、AIを活用した配送ルートの最適化やスマート倉庫の導入が進んでいる。しかし、デジタル化に対応した高技能な物流人材が不足していることが課題であり、ベトナム企業と教育機関の連携強化が急務となっている。
これらを通じて、ベトナム物流業界は地域の重要な物流拠点としての地位を確立することが期待されている。
