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ベトナム市場調査医薬品・ヘルスケア

ベトナムの医薬品産業における生産と消費動向 

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ベトナム特化コンサルティング会社、ONE-VALUE株式会社によって運営されています。

はじめに 

ベトナムは、人口増加、経済成長、国民の健康意識の向上を背景に、医薬品市場の潜在力が大いに注目されている国の一つである。国内市場は、ジェネリック医薬品の普及や国民健康保険の拡大といった政策に支えられ、急速に拡大している。さらに、EU-GMPやPIC/S-GMPなどの国際基準を導入する企業が増加していることから、ベトナム製薬業界の競争力も向上しており、外国投資家にとって魅力的な市場となっている。本報告書では、ベトナム医薬品市場の現状そして政府の政策を探る。 

ベトナム医薬品業界の概観 

本章では、ベトナム医薬品業界の概観について解説する。

 生産と消費 

ベトナムの医薬品業界は輸入に依存していながらも、国内市場は人口増加や健康意識の高まりを背景に急成長している。今後は、さらなる国際基準の品質管理と生産能力強化が課題となっている。 

 生産  

ベトナムの製薬業界における技術レベルは、主に輸入された原料を使用した製品製造に依存しているのが現状である。医薬品の原料や新薬の開発能力はまだ低く、化学原料の約80~90%(有効成分や添加剤を含む)が中国やインドから輸入されている。一方で、一部の企業では無機化学原料や植物抽出物(テルピン、DEP、タウリン、ベルベリン、クルクミンなど)の生産が可能である。 

国内生産の医薬品市場におけるシェアは増加傾向にあり、2003年には39.7%だったが、2020~2022年には輸入品と同等の水準に達した。この成長は、国内の製薬業界が徐々に自立した供給能力を高めていることを示している。 

さらに、ベトナムでは国際的な製薬基準の採用が進んでおり、WHO-GMP、EU-GMP、PICs-GMP(※)などの基準が普及している。2022年10月時点では、GMP-WHO基準を満たす工場が国内に228ヵ所存在し、国際基準に適合した製品製造の体制が整備されつつある。 

※WHO-GMP: 世界標準。低・中所得国の製薬業界でも受け入れられやすい。 

※EU-GMP: 欧州連合内および輸出向けの厳格な基準。 

※PICs-GMP: 国際調和を目指し、加盟国の相互認証を推進。 

 消費 

ベトナムにおける治療薬の販売は、主に病院向けチャネル(ETC)を通じて行われており、これが主要な流通ルートとなっている。一方で、薬局向けチャネル(OTC)は厳しい規制下にあり、多くの場合、処方箋が必要とされるため、自由な購入が制限されている。 

健康補助食品に対する需要はパンデミック以降急増しており、2022年10月時点で18歳以上の約80%が何らかの健康補助食品を使用している。特に、健康増強や免疫力向上を目的とした製品の需要が著しく増加していることが特徴的である。 

また、抗生物質とワクチンの利用に関しては、薬事法によりワクチンは薬局での販売が禁止されているが、一部の抗生物質は販売可能である。2020年のホーチミン市熱帯病病院による調査では、88%の人々が処方箋なしで薬を使用している実態が明らかになっており、抗生物質の乱用による耐性菌の問題が深刻な懸念事項として挙げられている。 

 ベトナム医薬品市場の規模 

ベトナムは、保健省薬事管理局の統計によれば、世界的に医薬品の市場価値の成長率が高い国の1つに位置付けられている。市場規模は拡大を続けており、2015年には約27億ドルだった市場価値が2023年には70億ドルを超え、2026年には100億ドル以上に達すると予測されている。 

ベトナムではジェネリック医薬品(※)の自主生産が可能で、輸出も行う国とされる。国内で生産される医薬品は、数量で約70%、販売高で約46%を占めている。また、IQVIA Instituteの報告によれば、ベトナムは17カ国が含まれるPharmerging Markets(新興医薬品市場)の第3グループ(12カ国)に属し、ベトナムの医薬品業界の売上高は年間10%以上の成長率を持つと評価されている。 

一方で、ベトナムの製薬企業は非常に分散しており、財務基盤が小さいという課題を抱えている。2022年のトップ10製薬企業の市場シェアは1%前後にとどまり、このため研究開発や生産技術への投資が制限される。大規模なプロジェクトや特許取得、研究チームの能力向上、生産性の向上が難しく、結果としてコスト削減にも影響が出ている。 

ベトナム市場調査レポート販売|ベトナムの医薬品産業における生産と消費動向 

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レポート基本情報

– ページ数(企業紹介ページを除く)11ページ
– 発行年月日:2025年2月27日
– 発行:ONE-VALUE株式会社
– ファイル形式:PDF形式
– 価格:ページのフォームからお問い合わせください
– 購入方法:
※最終的には請求書を発行し、銀行振込となります。カード決済にも対応しております。カード決済の場合、決済完了後1~3営業日以内にご連絡いたします。
※本レポート資料を用いたワークショップ開催、ベトナム専任コンサルタントへのベトナム市場・業界動向に関するご質問ができるスポットコンサルティングのサービスもご提供しております。
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本レポートポイント

このレポートでは、ベトナムの製薬産業における生産と消費動向について解説します。  
以下、レポートのポイントです。 

▶ ベトナムの医薬品業界を概観 
本レポートでは、ベトナムの医薬品業界の全体像から、生産・消費の具体的な動向、政府の政策まで、多角的な視点からベトナムの医薬品産業を分析しています。ベトナムの医薬品市場は、人口増加や経済成長、市民の健康意識の向上により急速に成長しています。ジェネリック医薬品の普及や国民健康保険の拡大が進む中、医薬品の国際基準の導入も進行中です。しかし、医薬品原料の90%以上を輸入に依存しており、特に中国やインドからの供給が多い状況にあります。政府は国民健康保険の加入率を2025年までに95%に引き上げる計画を立てており、今後も市場の成長と製薬業界の発展が期待されています。   

▶ 外国投資家がビジネス機会を探る足掛かりとなる情報を提供 
ベトナムの医薬品市場の需要や発展状況の他、輸出入の状況を知ることで、外国投資家にとってビジネス機会を探る足掛かりとなる情報を提供しています。今後、ベトナムの医薬品市場への参入を検討する日本企業にとっては有益な基礎情報となります。 

ベトナム政府機関、医療関係機関の統計資料・データを活用  
ベトナム政府機関、現地報道機関、医療関係機関の記事・統計資料など、信頼できる現地の情報源の資料やデータを活用しています。これらの機関が実施した調査結果も引用し、論理的で説得力のある構成でレポートをまとめています。 

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