ベトナムのごみ処理問題
ベトナムでは人口増加、経済発展に伴う生活スタイルの変化、消費の拡大、都市化、工業化といった背景により、廃棄物の発生量が増加している。廃棄物処理インフラの整備が追いつかず、ごみ問題が深刻な社会問題となっている。ベトナムで排出される廃棄物のうち、最も量が多い廃棄物は生活廃棄物であるが、人口増加と都市化を踏まえると、今後さらに量が増加すると考えられる。
都市別では、ホーチミン市が最も廃棄物を排出しており、続いて2番目はハノイ市である。 これら2つの都市だけでも、1日あたりの生活廃棄物発生量は12,000トンに達し、全国の発生量の33.6%を占めている(2019年時点)。
生活廃棄物の多くは、埋め立て、もしくは焼却処理されているが、焼却処理はエネルギー回収に再利用可能であり、環境負荷が比較的低いと考えられる。一方収益性の面では、廃棄物発電所は運用・投資コストが高く、収益性が低い等の課題を抱えている。廃棄物の焼却発電を進めるためには、政府による投資支援、融資、税金優遇、電力価格に関する政策やインセンティブが必要である。
ハノイ市が再生可能エネルギー開発計画を発行
ハノイ市人民委員会は、2024年の再生可能エネルギー開発について、廃棄物発電を129.3MWとする目標を掲げた、計画第284/KH-UBNDを発行した。
本計画では、ソクソン廃棄物発電所およびセラフィン廃棄物発電所の稼働開始により、ハノイ市のごみ処理からのエネルギー供給を約67MW増加させるとともに、都市の廃棄物発電による総エネルギー供給量を、約129.3MWとすることを目指している。高効率かつ現代的なエネルギー回収技術を採用することで、ごみ処理施設からの電力供給を優先的に進めていく。
また、ハノイ市人民委員会は、住居等の屋上での太陽光発電を約30MWを増加させ、自家消費および電力消費のピーク負荷軽減を目的とした、太陽光発電モデルの構築を進めていく。そのため、市民が高性能で環境に優しい太陽光発電を選択し、電力貯蔵システムに投資することを推奨する。
ハノイ市はまた、教育、農業、都市交通等の分野において、クリーンエネルギーを活用するための研究を実施予定である。気候に応じて風力発電を利用し、EV充電ステーションや都市交通へのクリーンエネルギー供給計画を策定する。また、EV充電ステーションの設置規格についても見直しを検討する。
今後ベトナムへの投資機会が拡大
ハノイ市の再生可能エネルギー開発計画は、外国投資家に多くの機会を提供している。廃棄物発電、太陽光発電、電力貯蔵システム、クリーンエネルギー活用に関する事業への投資が考えられる。これらの分野で高度な技術や効率的な解決策を提供できる企業は、市の再生可能エネルギー開発計画に貢献できるとともに、事業拡大に向けた新市場を開拓できる可能性がある。