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ベトナム空調市場日本製省エネ製品ベトナム進出

ベトナム空調市場|日本製省エネ製品の参入戦略 

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このメディアは、ベトナムビジネスの経営課題を解決する
ベトナム特化コンサルティング会社、ONE-VALUE株式会社によって運営されています。

はじめに 

今回の面談は、日本の空調関連製品メーカーと、中・高価格帯の空調機器を扱うベトナムの販売会社との間で実施された。両社は空調および関連製品という共通の事業領域を持つ。面談の目的は、互いの製品と強みについて理解を深めることにあった。あわせて、ベトナム市場における製品の可能性を確認し、販売、製品テスト、市場開拓に関する協業の可能性について意見を交わした。 

本件は、日本企業がベトナム市場に参入する際に直面する典型的な課題を示している。製品の品質は高く、日本国内での実績もあるが、価格は市場の平均を上回り、新市場での販売網もまだ十分ではない。この課題に対して、製品の位置付け、パートナー選定、協業ロードマップの設計をどう進めるか。本件は空調業界に限らず、設備・産業資材など幅広い分野でベトナム展開を検討する日本企業にとって、実務的な示唆に富む事例である。 

日本発の空調省エネソリューションが持つ本質的な価値 

日本企業の主力製品は、エアコンの吹出口に取り付ける気流制御製品である。開発から30年近くが経過し、現在は複数のシリーズを展開している。日本国内での出荷数量も大きい。 

製品の機能は次の2点に集約される。 

  • 冷風が人体に直接当たるのを防ぐ。 オフィス、レストラン、店舗では、従業員の席や客席が吹出口の真下にあることが多く、冷風が直接当たることへの不満が生じやすい。 
  • 風を約6~8m先まで届ける。 これにより室内の温度が均一になり、冷えすぎる場所と冷えが足りない場所が生じにくくなる。 

製品価値の核心は、室内温度の均一化と省エネの関係にある。室内温度が均一であれば、冷えにくい場所を補うために設定温度を過度に下げる必要がなくなる。日本の公的機関の試験では、エアコンの設定温度を1℃上げることで、消費電力を約8%削減できるとの結果が得られている。 

  • 空調の電気代は継続的に発生する運用コストである。コンビニエンスストア、レストラン、ホテルなど長時間稼働する施設では、特に負担が大きい。そのため、このデータには次の2つの意義がある。 
  • 効果が具体的な割合で示されているため、顧客は自社の実際の電力使用量をもとに便益を試算できる。 
  • 公的機関によるデータであるため、広告上の主張よりも信頼性が高い。 

日本国内では、オフィス、病院、ホテル、学校、レストラン、コンビニエンスストアなど多様な施設で導入されている。中でも、日本の大手コンビニエンスストアチェーンに大量の納入実績がある。 

大手小売チェーンでの実績には特別な意味がある。こうした顧客はサプライヤーの評価が厳しく、チェーン全体の費用対効果を重視し、数千店舗規模で展開する力を持つ。これらのチェーンに採用されたことは、実際の経済効果を示す証拠であり、ベトナムの小売・外食チェーンに提案する際の有力な参考事例となる。 

製品の位置付け―価格では勝負せず、BtoB市場に集中する  

日本企業は、自社製品が比較的高価格であることを明確に認識しており、低価格のみを重視する市場を主な対象としていない。これは、仕様の変更や値下げによって低価格製品と正面から競うことを避けた、意図的な選択である。 

この選択は、ONE-VALUEがベトナムで日本企業を支援する中で得てきた知見とも合致する。低コスト国で生産された製品と価格で競えば利益率は削られ、日本製品が本来持つ強みも生かせない。 

競合製品との4つの差別化要素  

注目すべきは、日本企業が競合する中国製品の品質を必ずしも低いとは考えていない点である。競合を過小評価しない客観的な姿勢が、真の差別化要素を明確にすることにつながっている。同社は以下の4点で差別化できるとしている。 

差別化要素 内容 法人顧客にとっての意味 
日本製 日本国内で生産 品質と安定性への信頼 
省エネ効果の検証データ 公的機関の試験データを保有 投資対効果を試算する根拠 
設置実績とノウハウ 多様な施設での設置経験 導入時のリスク低減 
多様な吹出口への対応 さまざまな吹出口の形状に適合 複数機種が混在する施設でも導入可能 

この4つの要素は、2つの価値軸に整理できる。 

  • 信頼性の価値 日本製であることと検証データ 
  • 導入しやすさの価値 設置ノウハウと対応力の広さ 

法人顧客にとっては両方が重要である。信頼できても導入が難しければ隠れたコストが生じる。逆に、設置が容易でも効果の裏付けがなければ予算の承認を得にくい。 

対象顧客  

主な対象顧客は、オフィス、レストラン、店舗、商業施設などの法人である。これらの顧客には共通点がある。 

  • 空調を長時間・大規模に使用するため、電気代が運用コストの中で大きな比重を占める。 
  • 購入価格だけでなく投資対効果で判断する。 
  • 従業員や来店客の快適性を重視する 。 冷風が直接当たらないことは快適性を左右する要素である。 
  • チェーン展開している企業であれば、横展開が見込める。 

コンサルティングの視点から見ると、個人消費者ではなくBtoB市場に集中することで、初期段階の限られたマーケティング資源を効率的に使える。広く宣伝するのではなく、ニーズの明確な顧客層に提案やプレゼンテーションで直接アプローチできるからである。 

ベトナムの販売パートナーの視点  

製品の価値と位置付けが明確であっても、それをベトナムの法人顧客に届けるには、適切な販売パートナーが欠かせない。面談相手のベトナム企業は、中・高価格帯の空調機器の販売と設置を手がけ、日本のサプライヤーの資材・部品を扱った経験も持つ。本章では、ベトナム側の視点から両社の親和性を整理し、関連する事業基盤を持つパートナーがなぜ重要なのかを考察する。 

両社の3つの親和性  

両社は空調および関連製品という事業領域を共有しており、親和性が高い。具体的には3つの側面に表れている。 

(1)顧客層の親和性 
ベトナム企業は中・高価格帯を中心としており、低価格市場を狙わない日本製品の位置付けと一致する。日系メーカーのエアコンを選んだ顧客は、品質と長期的な効果を重視する傾向がある。そのため、同じ日本製の付属製品も受け入れられやすい。 

(2)技術力の親和性 
ベトナム企業は空調設備の設置ソリューションを提供する力を持つ。付属製品の導入には、吹出口の種類や実際の空間における気流の設計に関する知識が求められるため、この力が欠かせない。 

(3)ビジネスモデルの親和性 
ベトナム企業はすでに日本のサプライヤーの資材・部品を扱った経験がある。気流制御製品と消耗品フィルターは既存の取扱品目に加えることができ、新たな販売網を一から築く必要がない。既存の顧客網をそのまま活用できる。 

関連する事業基盤を持つパートナーの価値  

本件は、ベトナムで販売パートナーを選ぶ際の重要な原則を示している。理想的なパートナーとは、単に販売網が広い企業ではない。顧客層、技術力、取扱品目といった点で、製品に直接関わる事業基盤を持つ企業である。これらが合致していれば、パートナーが新製品を理解し、販売に乗せるまでの時間とコストを大きく短縮できる。 

段階的なロードマップでBtoB市場を共同開拓  

両社の親和性を踏まえ、面談では具体的な協業の進め方についても意見が交わされた。焦点は、現在の受け身の販売から脱し、両社が共同でBtoB市場を開拓する体制をどう築くかにある。本章では、協業の基本方針、販売網の構造と独占販売への考え方、日本企業の現地への関与を順に整理し、最後に3段階の協業ロードマップとしてまとめる。 

受け身の販売から共同での市場開拓へ  

日本企業は現在、ホーチミン市の空調資材販売会社を通じて、ベトナムで少量を販売している。製品は市場に流通しているものの、能動的な市場開拓は行われていない。これは多くの日本企業に共通する状況である。仲介会社は注文に応じて商品を供給する役割にとどまり、需要の創出や顧客への提案にまでは投資していない。 

そこで日本企業は、単に製品を販売するのではなく、ベトナムのBtoB市場を共に開拓できるパートナーを求めるという方針を明確にしている。2つのアプローチの違いは以下のとおりである。 

項目 単純販売モデル 共同市場開拓モデル 
パートナーの役割 仕入れて再販する 共に需要を創出し、顧客に提案する 
日本企業の役割 商品を供給する パートナーと共に設置、提案、プレゼンテーションを行う 
適する製品 既に需要がある製品 新しく、価値の説明が必要な製品 

価格が高く、価値を数値で示す必要のある製品には、共同市場開拓モデルの方が適している。ベトナムの法人顧客は、仕組み、省エネ効果、設置方法を理解したうえで判断を下す。こうした内容は製品カタログだけでは伝えにくい。 

販売網の構造と独占販売への考え方  

ベトナム企業が代理店となった場合、ベトナム企業からホーチミン市の既存の資材販売会社に商品を供給する販売網も検討できる。この構造には3つの利点がある。 

  • 既存の販売網を崩さない。 
  • 輸入・供給の窓口を一本化できる。 輸入、在庫、配送の管理が簡素になる。 
  • 市場のカバー範囲が広がる。 ベトナム企業の販売網と既存の販路を組み合わせられる。 

独占販売については、両社はまず共同で市場開拓を進め、協業の可能性と効果を確認したうえで検討するとの考えで一致している。ONE-VALUEはこの進め方を合理的と評価している。理由は3つある。 

  • 日本企業のリスクを抑える。 検証されていない販路に長期間縛られることを避けられる。 
  • ベトナム側パートナーのリスクを抑える。 新製品に経営資源を投じる前に、実際の需要を見極める時間を確保できる。 
  • データに基づく交渉の土台ができる。 初期段階の成果が、対象地域や販売目標といった独占条件を決める根拠となる。 

現地への直接関与と長期的な投資の視野  

日本企業は、ベトナムでの設置、顧客への提案、プレゼンテーションをベトナム企業と共同で行う意向を示している。同社の代表者は近く東南アジアへの出張を予定しており、協議が進めばハノイ訪問も可能としている。メーカーが直接関与することには3つの価値がある。 

  • パートナーの担当者に設置の技術を移転できる。 
  • 法人顧客からの信頼が高まる。 
  • 市場の反応を直接把握し、製品やアプローチの調整に生かせる。 

さらに将来的に販売数量が増えれば、ベトナムでの生産も選択肢として検討するとしている。これは、同社がベトナムを単なる試験的な販売市場とは見ていないことを示している。市場開拓の成果に応じて関与の度合いを段階的に高める、長期的な投資の視野を持っているのである。 

3段階の協業ロードマップ  

面談の内容から、協業のロードマップは次の3段階に整理できる。 

  • 第1段階 テストと検証 製品テストを実施し、法人顧客への設置、提案、プレゼンテーションを共同で行う。協業の可能性と効果を評価する。 
  • 第2段階 販売網の拡大 ベトナム企業が代理店となり、ホーチミン市の既存販路に商品を供給する。第1段階の成果をもとに独占販売を検討する。 
  • 第3段階 長期的な投資 販売数量が増加した段階で、ベトナムでの生産を検討する。 

事業展開にあたっての留意点  

好条件がそろう一方で、コンサルティングの視点からは、両社が協業の開始前および推進過程で明確にすべき点が4つある。 

  • ベトナムの実使用環境での効果検証 現在の省エネデータは日本での試験結果である。ベトナムでの試験事例のデータを加えれば、顧客への提案の説得力が増す。製品テストが協業の当初から議題となっているのもこのためである。 
  • 価格の壁を越える価値の伝え方 購入価格を比べるのではなく、運用コスト全体に焦点を当てた提案が必要である。具体的には、削減できる電気代、洗浄周期の延長による保守費用の低減、そして職場環境や接客環境の改善である。 
  • 販売網における役割分担 ホーチミン市の資材販売会社という既存の販路に新たな代理店を加える際には、活動範囲、価格方針、顧客の割り振りについて合意し、販路間の競合を避ける必要がある。 
  • 消耗品の安定供給 フィルターは定期的な交換が必要であり、継続的な供給が顧客満足を保つ条件となる。製品を日本から輸入している段階では、この点が特に重要である。 

ベトナム進出を検討する日本企業への示唆  

本件から、品質が高く価格帯も高い製品でベトナムへの事業展開を目指す日本企業に向けて、5つの教訓を導き出すことができる。 

  1. 最初から対象市場を明確に定める。 市場全体を狙うのではなく、長期的な効果で製品を評価する顧客層に絞る。 
  1. 数値による裏付けを用意する。 第三者機関の検証データや日本の大手顧客での実績は、ベトナムの法人顧客を説得する有効な材料となる。 
  1. 関連する事業基盤を持つパートナーを選ぶ。 企業規模だけでなく、顧客層、技術力、取扱品目の適合性を重視する。 
  1. 協業を段階的に設計する。 テストと検証から始め、独占販売や生産投資といった大きな判断はその後に行う。 
  1. 日本企業自らが現地に関与する。 初期段階でメーカーが関与することで、技術が移転され、顧客の信頼も得られる。 

結論 

本稿で取り上げた事例が示すように、価値の高い製品を持つ日本企業がベトナム市場に参入する道は、価格競争の中にはない。その道は、適切な顧客層を見極め、価値を数値で示し、方向性を共有できるパートナーを選ぶことにある。ただし、これらを実行するには、正確な市場情報とベトナムでの信頼できるネットワークが欠かせない。 

ONE-VALUEは、ベトナム市場における日本企業の事業を専門に支援する戦略コンサルティング会社である。以下のサービスを通じて、貴社の取り組みに伴走する。 

  • ベトナム市場調査・事業戦略コンサルティング 市場規模、競合、対象顧客のニーズを分析し、ベトナム市場に適した製品の位置付けと価格戦略の策定を支援する。 
  • ベトナム進出支援コンサルティング 販売パートナーの探索と評価、協業モデルの設計、交渉への同行、展開ロードマップの策定を支援する。 
  • 販売代理サービス 貴社に代わってベトナムでの営業・マーケティングを実施し、輸出入手続きも支援する。大きな経営資源を投じる前に、市場の需要を検証することができる。 

ベトナム市場への製品投入や販売パートナーの選定をご検討の際は、ぜひONE-VALUEまでお問い合わせいただきたい。 

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