2025年6月16日、ベトナム国会は第15期国会の本会議において、憲法2013年版の一部条項を修正・補足する決議を全会一致(出席者470名全員賛成)で可決した。この決議により、地方行政制度における大幅な構造改革が実施され、特に行政単位の再編と首相による地方指導者の指名制度が新たに導入される。
改正された憲法第110条では、ベトナムの行政区画は「省・中央直轄市(第1層)」および「その下位行政単位(第2層)」という2層構造へと再編されることが明記された。これにより、従来存在していた「県(huyện)」レベルの行政単位は2025年7月1日をもって全国で廃止される。行政単位の合併や分割、境界変更については、引き続き住民の意見を踏まえ、国会の手続きに従って行われる。
今回の改正では、県レベルの行政単位の廃止に伴い、新たに設立される行政単位においては、人民評議会(HĐND)および人民委員会(UBND)の各役職に対して選挙を行わず、政府および関係機関が指名によって役職者を任命する制度が導入される。具体的には、首相が各省・中央直轄市の人民委員会議長および副議長を直接指名するほか、国会常務委員会が人民評議会関係の役職(評議会議長、副議長、各委員会長)を指名することが可能となる。
さらに、特例として、地方評議会を設置しない都市部などでは、国会の決議により、非議員の人物を一時的に人民評議会の役職者や議員に指名することも可能となる。
今回の改正では、全120条項のうち5条項が修正対象となった。最初は8条項の修正が検討されたが、全国から2億8000万件以上の意見が寄せられた結果、合理性と整合性の観点から5条項に絞られた。
この改正および関連する地方政府組織法の整備により、ベトナム全土で統一的な2層構造の行政体制が確立される。これは、党および政府が推進する統治機構の簡素化・効率化戦略に基づくものであり、国民の幸福と国家の強靭化を目的とした大規模な制度改革の第一歩である。
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