ベトナムの電子廃棄物の増加と不十分なリサイクル
現在、ベトナムでは年間約10万トンの電子廃棄物が発生している。2025年までには、テレビの廃棄物だけでも約25万トンに達する見込みだ。
ベトナムにおける電子廃棄物は科学技術の発展と共に増加している。今日では、スマートフォンやテレビ、コンピュータなどの電子機器を所有することが容易になっているためである。また、電子機器の価格も下がり、一般の人々にも手が届くようになっている。以前ベトナムでは、電子機器が故障しても修理して使用していたが、今では故障するとすぐに捨てて新しいものを購入する傾向が強まっている。このため、ベトナムで電子廃棄物の量が増加している。
環境科学技術研究所の研究によると、現在ベトナムでは年間約10万トンの電子廃棄物が発生しており、その主なものは家庭用電子機器やオフィス機器である。2025年までには、テレビの廃棄物だけでも約25万トンに達する見込みだ。ハノイ市とホーチミン市は、人口密度が高く、電子機器の需要も大きいため、電子廃棄物の発生量が最も多い地域である。捨てられる電子機器には、主にスマートフォン、ノートパソコン、タブレット、テレビ、および小型家電が含まれまる。
電子廃棄物を無造作に捨てることは、環境汚染のリスクを高めるだけでなく、資源の無駄遣いにもつながる。電子機器の多くには、貴金属、プラスチック、ガラスなどリサイクル可能な材料が含まれており、これらを再利用することで自然資源への依存を減らすことができる。しかし、ベトナムでは電子廃棄物のリサイクルがまだ効果的かつ包括的には行われていない。
現在、ベトナムでの電子廃棄物の収集と処理はまだ初歩的な段階にあり、処理には多くの問題がある。ベトナム国内には約100の電子廃棄物の回収およびリサイクル施設があるが、リサイクルは主に手作業で行われており、鉄、銅、鉛、スズ、プラスチックなどの一般的な材料の一部だけが古い技術と設備でリサイクルされている。これにより、環境と公衆の健康に大きな影響を及ぼしている。一方で、高度な技術を導入している施設は、人的資源や設備への投資が困難であり、科学技術の投資や技術移転も不足している。
電子廃棄物のリサイクル技術への投資も重要な要素である。現在、ベトナムの電子廃棄物リサイクル技術は非常に限定的で古いものである。電子廃棄物を効率的かつ環境に優しい方法でリサイクルするためには、最新技術への強力な投資が必要だ。プラズマ技術による廃棄物処理、電子廃棄物からのプラスチックリサイクルなどの技術の研究と応用が求められている。