1.2025年のベトナムにおける外国直接投資(FDI)誘致状況
2025年、ベトナムは世界的なサプライチェーン再編の中で、東南アジアにおける安定かつ魅力的な投資先としての地位を一層確固たるものにした。
政府機関の公式統計によると、2025年のベトナムへのFDI認可額は約384億2,000万ドル(約5兆7,600億円)に達した。一方で、FDI実行額は約276億2,000万ドル(約4兆1,400億円)と推定され、過去5年間で最高水準を記録した。この結果は、ベトナムのビジネス環境および中長期的な成長見通しに対する、外国投資家の根強い信頼を反映している。

産業構造別では、製造・加工業が引き続き柱となり、新規認可額と実行額の両方で最大のシェアを占めた。特に、電子機器、半導体部品、電気・電子機器といった高付加価値分野へのFDI流入が顕著である。これは、従来の労働コストに依存した投資誘致モデルから、生産能力、産業インフラ、およびグローバルバリューチェーンへの参画能力を重視したモデルへと移行している傾向を示している。

地理的分布については、整備されたインフラを持つ工業中心地が引き続きFDI流入を牽引しており、ホーチミン市やバクニン(Bắc Ninh)省が投資額上位のグループにランクインしている。これに加えて、2025年のFDIマップでは新たな地方自治体の台頭が記録された。タイニン(Tây Ninh)省は前年同期比143.7%という成長率で第5位に浮上し、一方でニンビン(Ninh Bình)省は順位を7つ上げ、ランキング第8位に躍進した。

伝統的な製造業と並行して、2025年は再生可能エネルギー、物流(ロジスティクス)、製造支援インフラ分野への外国投資家の関心も高まった。その結果、投資場所の選定、法務デューデリジェンス、投資構造のコンサルティングに対する需要が拡大している。特に、コンプライアンスや長期的な安定性を重視する日本企業において、これらの専門サービスの重要性が増している。
2.日本企業の主要な投資プロジェクトと動向
日本はベトナムにとって引き続き極めて重要な戦略的投資パートナーである。日本企業の投資の特徴として、大規模な新規プロジェクトに限定せず、増資や深掘り投資(既存事業の高度化)の比率が高いことが挙げられる。2025年1月~10月期のFDI構造において、日本は主要投資国の中で第4位に位置しており、その資金は主に製造・加工業、裾野産業、エネルギー、工業団地インフラに集中している。
エネルギー分野では、日本の大手総合商社である丸紅や三井物産がベトナムのエネルギープロジェクトに深く関与し続けている。丸紅は国内パートナーと共に洋上風力発電プロジェクトの研究開発を推進しており、三井物産はメコンデルタ地域において戦略的意義を持つ大規模エネルギーインフラ事業である「ブロックB・オモン(Lo B – O Mon)」ガス・電熱プロジェクトに参画している。
ハイテク産業分野では、株式会社トクヤマがバリア=ヴンタウ(Bà Rịa – Vũng Tàu)省で半導体産業向けのポリシリコン製造プロジェクトを展開した。このプロジェクトは、日本が圧倒的な技術的優位性を持つ分野であり、ベトナムを世界の半導体原材料サプライチェーンに組み込むという戦略的な意味を持っている。
また、住友商事、トヨタ、ホンダなどの大手グループや、裾野産業を担う日本企業は、ヴィンフック(Vĩnh Phúc)省、フート(Phú Thọ)省、バクニン(Bắc Ninh)省といった北部諸省での生産活動を拡大、あるいは維持している。これにより、地域ネットワークにおける重要な生産拠点としてのベトナムの役割が強化されている。
3.2026年〜2030年期における外国投資家への原動力と機会
2026年〜2030年期にかけて、ベトナムは安定した成長基盤を維持すると予想されており、2026年の全国GDP成長率目標は10%以上に設定されている。政策の重点は、マクロ経済の安定、投資環境の改善、およびFDI流入の質の向上に置かれている。
エネルギーおよびグリーン経済の分野では、法整備が段階的に進んでいる。特に電気法の改正、直接電力取引(DPPA)メカニズムの導入、カーボンクレジット市場の形成に向けたロードマップの策定が進行中である。これらの要素は、環境技術、エネルギー、およびESG経営に強みを持つ日本企業にとって、ベトナムでの持続可能な開発プロジェクトへ深く参画する大きな余地を生み出している。特に、両国間の「外交・防衛閣僚級会合(2+2)」の格上げは、政治・安全保障上の基盤をさらに強固なものにし、大規模プロジェクトのための持続可能なビジネス環境を構築している。
ハイテク産業の視点では、ベトナムはチップ、半導体、人工知能(AI)分野を中心に、高度人材育成戦略を推進している。これは、日本企業がサプライチェーンの多様化と若手人材の活用を目的に、研究開発(R&D)活動や部品生産、高付加価値工程の一部をベトナムへ移管することを検討する前提条件となっている。
しかし、FDI誘致競争が激化する中で、ベトナムへの新規参入や投資拡大には、法的規制や地方の行政手続きに対する深い理解、および現地市場における信頼できるパートナーネットワークの構築といった、体系的なアプローチ戦略が不可欠である。
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