ベトナムでは家庭用太陽光発電の設置に関し、通知・登録義務を課すべきかどうかを巡り議論が高まっている。背景には、EVN(ベトナム電力)が、発電量の把握と電力系統の安定運用を理由に、家庭が屋根に太陽光パネルを設置する場合、仮に自家消費のみであっても通知や登録を義務化すべきだと提案したことがある。Nghị định 58/2025は再生可能エネルギー開発を規定しているが、家庭用太陽光の通知義務が曖昧であり、法的な不明確さが運用上の課題となっている。
EVNの提案に対しては賛否が分かれる。賛成派は、家庭単位での発電は小規模でも、設置件数が増えれば負荷予測や電力供給計画に大きな影響を及ぼすと指摘する。登録制度を通じて系統運用を最適化でき、安定供給と長期的な投資計画にも資するという立場である。また、アプリを通じた簡便な登録制度を導入すれば、市民の負担を抑えつつ情報共有を実現できるとの意見も出ている。
一方、反対派は、自家消費専用の発電設備にまで登録義務を課すことは過剰規制であり、政府が推進する「自発的な再生可能エネルギー利用」の精神に反するとの見解を示す。小規模な家庭用パネルが電力系統に与える影響は限定的であり、規模や接続有無に応じた柔軟なルールが必要だと主張する。さらに、登録を怠った場合の罰則規定は市民の不信を招き、普及促進に逆効果をもたらす恐れもある。
建設的な提案としては、電力会社が余剰電力を買い取り料金に充当する仕組みや、パネル・蓄電池の価格低減策を組み合わせることで、国民がより積極的に太陽光発電に参加できる環境を整えるべきとの意見が出ている。今後、通知義務と利便性、普及促進のバランスをいかに取るかが、ベトナムの再生可能エネルギー拡大の成否を左右することになる。
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