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ベトナムにおける教育動向を徹底解説:幼児から大学と学校外教育まで

ベトナムにおける教育動向を徹底解説:幼児から大学と学校外教育まで

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ベトナム市場調査レポート販売

ベトナムにおける教育動向を徹底解説:幼児から大学と学校外教育までについてのレポートを販売しています。

レポート基本情報

– ページ数(企業紹介ページを除く)25 ページ
– 発行年月日:2025年5月
– 発行:ONE-VALUE株式会社
– ファイル形式:PDF形式
– 価格:ページのフォームからお問い合わせください
– 購入方法:
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ベトナムのマクロ経済と人口動態 

ベトナムは近年著しい経済成長を遂げており、一人当たりGDPは1986年の700ドル未満から2023年には約4,500ドルに達している。これにより生活水準が向上し、貧困層の割合は2010年の14%から2023年には4%未満へと大幅に減少した。中間層の人口も急増し、2014年の約1,200万人から2020年には3,300万人に倍増すると予測されている。これらの経済発展は教育への支出余力を高め、質の高い教育サービスに対する需要拡大の基盤となっている。 

富裕層・超富裕層の増加も顕著であり、資産3,000万ドル以上の超富裕層は2017年の583人から2022年には1,059人に約82%増加し、2027年には1,300人近くに達すると見込まれている。富裕層の増加は子弟への高額な教育投資を後押しし、国際水準のサービス提供やプレミアムな教育ビジネスのチャンスを広げている。 

人口動態では、2023年に総人口が1億人を突破し、東南アジアで3番目の人口規模となった。人口の約60%が35歳未満の若年層であり、これは1970年代の日本の人口構造に類似している。ベトナムは今後も2040年頃までは「人口ボーナス期」が続き、若年人口による内需拡大が期待されている。家族構成は都市化と経済発展に伴い核家族化が進み、子供一人当たりに割ける資源が増える傾向にある。出生率は2022年に2.01と低下傾向にあり、政府は少子高齢化対策として2人以上の出産奨励政策へと転換している。 

ベトナムの教育制度と文化的背景 

ベトナムの教育制度は5-4-3制(小学5年・中学4年・高校3年)で構成されており、初等教育は義務教育で就学率は98%以上に達している。中学・高校は義務ではないものの、高校進学率は80%程度にまで向上している。教育省(MoET)が全国の教育行政を統括し、公立・私立学校が共存している。カリキュラムは全国共通で、国語、数学、理科、社会など基礎教科が中心である。歴史的には儒教の科挙文化の影響を受けており、学歴・資格重視や受験競争の風土が強く残っている。 

入試制度は東アジア的な競争の激しさが特徴であり、高校や大学進学時には厳しい選抜試験が存在する。特に有名公立高校やギフテッド高校への進学は難関であり、高校卒業試験は全国統一テスト化されており、大学入試の合否判定に用いられている。これにより高校3年生は受験勉強に専念する傾向が強く、進学塾や予備校、家庭教師の需要を生み出している。 

幼児教育は3~5歳児を対象に公立・私立園があり、都市部ではモンテッソーリ教育や国際バカロレア(IB)など先進的メソッドを掲げる私立幼稚園が増加している。小学校では基礎的なリテラシーと計算力習得に重点が置かれ、英語教育は小学校3年生以上で必修化されている。中等教育では文系・理系に分かれ、理数系の英才教育や国際オリンピック向け特別クラスも存在している。高等教育は4年制大学のほか短大・専門学校もあり、大学進学率は30~35%程度である。質の差があり、上位国立大学や名門私大に人気が集中しているが、質的向上の課題も残っている。 

文化的には、ベトナムは「学歴社会」と呼ばれており、教育や資格に重きを置く社会である。親世代は子供の学業成績を重視し、教育に犠牲を厭わない傾向がある。近年は外国語教育や留学志向も盛んであり、ITエンジニアやグローバル人材を目指すケースが増えている。日本語教育も急成長しており、2025年からは全国の小学校3年生以上で日本語が選択科目として導入されている。日本語学習者数は2012年の約4.7万人から2021年には約16.9万人に拡大し、世界第6位の規模となっている。 

教育に関する親の価値観の変遷 

かつては義務教育終了後に働くことが一般的であったが、市場経済化以降は高等教育まで進学させたい家庭が増加している。現在では高校卒業後の大学進学が中流家庭の標準目標となり、多くの学生が海外留学を志望している。2019-2020年には約19万人のベトナム人学生が海外で学び、その22%が日本を選んでいる。親は教育を「将来の豊かさへの鍵」と考え、教育費に惜しみなく投資する傾向がある。 

近年は「量より質」の志向が強まり、単に学校の成績が良ければ良いという考えから、進学先のブランドや教育内容にこだわる親が増えている。義務教育段階でも、子供の才能や興味を伸ばす教育を求める声が高まり、都市部の中産階級では放課後や週末の補習教育が一般的である。英語、IT、芸術など多様な分野のスキル習得を重視する傾向もある。 

学校外教育(塾・習い事)への支出も増加し、約40%の家庭が子供を塾や家庭教師に通わせている。教育費は世帯収入の1~5%を占めることが多く、都市部では教育関連支出が世帯消費の約47%に達するケースもある。親の教育投資意欲は非常に高く、英語塾や留学準備、国際資格取得のための高額プログラムにも積極的に支出している。 

このような親の価値観の変化は教育市場の成長を促し、質の高い教育サービスには相応の対価を払う市場が形成されている。学習塾、予備校、語学センター、習い事教室が乱立しながらも市場は拡大を続け、創造力教育や人格形成、スポーツ・芸術教育など新たなニーズも増えている。特に幼児向け右脳開発教室やSTEAM教育プログラムへの関心が高まっており、日本企業の教育メソッドや教材の参入余地が大きい状況である。 

学習塾・習い事の種類と動向 

・学習塾・家庭教師(補習・進学指導) 

都市部を中心に小中高生対象の学習塾が多数存在し、進学塾から個別指導、家庭教師まで形態は多様である。特に高校生向け大学受験塾市場は急成長しており、ホーチミン市では塾通い高校生の割合が2019年の81%から2023年には88.4%に増加している。個別指導の人気も高まり、生徒の学力に合わせたカスタマイズ指導が増えている。日本式のそろばん教室や公文式教室も進出し、一定の支持を得ている。 

・語学スクール(英語・日本語・その他) 

外国語習得熱が高く、英語教育は圧倒的な需要がある。幼児から社会人まで幅広い層が英会話学校や英語塾に通い、ネイティブ講師による会話クラスやIELTS/TOEFL対策講座が人気である。日本語教育も急成長中であり、日本語能力試験(JLPT)対策や日本留学試験(EJU)対策コースが設置される教育機関も増えている。中国語や韓国語も人気が高まっており、語学スクール市場は拡大を続けている。 

・習い事(音楽・スポーツ・芸術・プログラミング等) 

伝統的に富裕層に限られていた音楽やスポーツの習い事が中流層にも広がり、多様な課外活動市場が拡大している。ピアノ、バイオリン、水泳、絵画、サッカー、テニス、ダンスなどが人気である。近年はプログラミング教育やSTEM教育関連の習い事も注目され、ロボット教室やコーディング教室が都市部の小中学生に人気である。日本企業も幼稚園向けSTEAM教育プログラムを展開し、高い評価を得ている。 

教育市場の動向 

・市場規模と成長率 

ベトナムの教育市場は急速に拡大しており、EdTech分野だけで2023年には20億米ドル(約2,600億円)以上と推計されている。オンライン教育市場は2019年に前年比44.3%増の成長を記録し、その後も高成長を維持している。K-12(初等・中等)民間教育市場も拡大し、私立幼稚園・学校の生徒は約51万人、高等教育の私立大学在籍者は約42万人に達している。 

・成長要因と将来予測 

成長要因は人口動態(若年層の多さ)、経済発展(所得向上)、政策支援(外資規制緩和、IT化推進)、文化・需要の変化(教育熱の高まり)に分けられる。学齢人口は2024年で約2,450万人と巨大で、2030年頃までは高水準を維持している。経済成長に伴い中間層・富裕層が増え、私立校や留学への支出が増加している。政府は外国資本による学校設立要件を緩和し、100%外資の教育機関設立も可能にした。教育のデジタル化も国策で、2025年までに全国高校でオンライン教材整備が計画されている。将来的には2050年以降の高齢化に伴う市場成長鈍化が懸念されるが、現在は「成長期」であり、今後は質の高度化が求められている。個別最適化学習やAI教育、国際認証取得などが進展し、教育サービスの質的競争の時代に入ると予想されている。 

教育市場のトレンド(課題とビジネスチャンス) 

  • デジタル化とオンライン学習の普及 
    新型コロナを契機にオンライン授業が普及した。EdTech企業は200社以上、利用者は200万人超である。録画授業からライブ双方向型へ進化中である。地方のデジタル格差や品質保証が課題である。日本の教育IT企業のオンライン教材やAI学習分析システムは受け入れられる素地があり、政府もIT化を後押ししている。 
  • 個別最適化・能力別教育のニーズ 
    画一的な詰め込み教育への批判が強まり、個性や能力に応じた教育が求められている。数学オリンピックトレーニングや英才児向けプログラムが人気である。教員不足や大人数学級の公教育では対応困難な補習ニーズも存在する。日本のきめ細かな学習管理や習熟度別教材のノウハウが活かせる。AIを活用したアダプティブラーニングの導入も期待されている。 
  • 外国語ニーズの高度化と多様化 
    英語以外の日本語、韓国語、中国語の需要増加が見られる。日本語は公教育への正式導入決定で教師不足が課題である。英語教育ではスピーキング重視やビジネス英語、IELTS・TOEFL対策講座が増加している。地方の英語教師不足解消に遠隔教育が有効である。 
  • 教育インフラ・サービスの地域格差と過熱競争 
    教育サービスは都市部に集中し、地方では選択肢が限られている。地方主要都市への進出が始まっている。都市部では競争激化で過熱気味の市場もあり、差別化や質向上が必須である。インターナショナル・バイリンガル校の浸透率はまだ低く、成長余地が大きい。政府も外資系学校誘致に前向きで、海外連携校も設立されている。 

外資系企業(特に日系)の参入事例 

  • 学習塾 
    栄光ゼミナールは2002年に日本語学校を開設し、2013年にはベトナム人向け学習塾を開校した。公文式も算数・国語の自学自習メソッドで支持を得ている。 
  • 幼児教育 
    学研ホールディングスは現地EdTech企業と提携し、日本の科学教育プログラムを幼稚園向けに提供している。2025年時点で200園以上に導入されている。 
  • 高等教育 
    日越大学(VJU)は日本とベトナム政府の協力で設立され、日本の大学コンソーシアムがカリキュラム設計や教員派遣を行っている。 
  • 投資・提携 
    米投資ファンドKKRがベトナム教育グループEQuestに1億ドル出資した。香港のBaring Private Equity Asiaが最大手英語スクールVUSの株式を取得した。日本企業は学校設備やITインフラ提供、IT人材育成コース開設などで間接参入も増加している。 

日系企業は品質重視や長期的視野での取り組みが評価され、現地の富裕層・中間層に「日本式教育」への信頼感が強い。教育サービスは長期的信用が重要であり、現地ニーズに応える姿勢が求められている。 

将来予測とビジネスチャンス 

  • 幼児・英語教育の需要増 
    出生率低下により一人っ子家庭が増加し、幼児期から質の高い教育を与えたい親が増えている。インターナショナル幼稚園やバイリンガル幼稚園、モンテッソーリ教育、リトミックなど先進的プログラムへの関心が高まっている。幼児教育市場は単価が高く、日本の幼児教材や知育玩具、スクール運営ノウハウの参入余地が大きい。 
  • 英語教育の継続的成長 
    英語は国際言語かつ高収入職への必須スキルであり、小学校での必修化以降も需要は増加し続けている。英語教育市場は今後も拡大が見込まれ、IELTSやTOEFL対策講座、ビジネス英語教育のニーズも高まっている。 
  • EdTechとAI教育の拡大 
    オンライン学習やAIを活用した個別最適化学習の需要が増加している。教育DX推進により、IT企業や教育関連企業にとって大きなビジネスチャンスが存在している。 
  • 多言語教育の多様化 
    日本語、韓国語、中国語などの外国語教育需要が拡大し、語学スクール市場は競争激化しつつも成長を続けている。 
  • 地方市場の開拓 
    教育サービスの地域格差是正が課題であり、地方主要都市への進出は競合が少なくブランド確立のチャンスがある。日本企業のノウハウ提供や学校運営支援が求められている。 

まとめ 

以上のように、ベトナムの教育市場は人口構造の若さと経済成長を背景に、急速な拡大と質の高度化が進んでいる。親の教育熱や政府の政策支援も強力な追い風となっており、特に幼児教育、英語教育、EdTech、多言語教育、地方展開の分野で日本企業を含む外資系企業に多くのビジネスチャンスが存在する。長期的視点で質の高い教育サービスを提供し、現地ニーズに応えられる企業が今後の市場をリードすることが期待されている。 

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