はじめに
皆さま、こんにちは。ONE-VALUE 株式会社の代表のホアです。
ベトナムへの参入を検討される日系企業の皆さまとお話しすると、「良い物件や事業機会がなかなか見つからない」というご相談を頻繁にお受けします。土地は高騰し、競合他社はすでに先行している——そんな閉塞感を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。その答えの一つが、実は「国営企業」にあります。今回は現場での経験をもとに、ベトナム国営企業の実態と、日系企業にとっての可能性をご説明します。
ベトナム経済における国営企業の圧倒的な存在感
ベトナム全土には約100万社の企業が存在しますが、国営企業はわずか671社(約0.2%)にすぎません。しかしこの少数精鋭の企業群がGDPの約21%を占め、売上トップ30社の多くが石油・ガス・通信などを担う国営企業で占められています。民間市場では太刀打ちできないほどの規模とインフラを持ちながら、その経営効率は外資系企業と比べると依然として低水準にとどまっています。
こうした非効率さが逆に「機会」を生み出しています。国営企業は莫大な資本・資産を抱えながらも売上効率が低く、経営改善の余地が大きく残されているため、ベトナム政府は民営化を積極的に推進する方針を打ち出しています。言い換えれば、優良資産が割安な条件で市場に出てくるタイミングが、今まさに訪れているのです。
民間にはなかなか手に入らない3つの強み
弊社がさまざまな案件をご支援する中で感じるのは、国営企業が持つ「参入障壁そのものが強みになっている」という逆説的な事実です。
まず、不動産・インフラ資産の面では、ハノイビール(Habeco)の5万平米超の工場跡地、全国14カ所の港湾(VIMC)、43,000ヘクタール以上の林地(Vinafor)など、通常の不動産市場では到底手に入らない一等地が国営企業の傘下に眠っています。資金力があっても買えない——だからこそ、出資・株式取得という経路だけが唯一の入口になります。
次に、事業ライセンスの希少性という強みがあります。ベトナム電力公社(EVN)が独占する送配電事業、あるいは航空・鉄道・タバコといった分野は、国営企業しか許認可を持っていない、または民間の新規参入が制度的に極めて難しい領域です。こうした「ライセンスという見えない価値」にアクセスできるのも、出資という手段をとるからこそです。
そして3つ目が、顧客基盤の厚さです。受注案件の約半分が公共セクターからの指名入札であるLicogiや、公立病院向け入札に強いDopharma・Vinamedのように、国営ならではの政府ネットワークと受注力を持つ企業が多数存在します。この顧客基盤を民間企業が一から構築しようとすれば、十年単位の時間と膨大なコストが必要です。
入札・出資の仕組みと現実
政府の決議第79号に基づき、国が50%以下の株式しか保有していない国営企業は、SCIC(国家資本投資会社)を通じて順次売却・民営化されます。制度上はオープンな仕組みに見えますが、現場の実態は大きく異なります。
公開入札をただ待つだけでは落札はほぼ不可能です。入札が公示される前から始まる情報収集、関係各所との信頼構築、財務・法務面の事前精査——こうした水面下の準備なしには、テーブルに着く前に勝負がついています。弊社が多くの案件支援を通じて痛感してきたことは、「制度を知っている」と「実際に動ける」の間には、大きな溝があるということです。その溝を埋めるのが、現場を知るパートナーの存在にほかなりません。
ONE-VALUEにご相談ください
弊社ONE-VALUEは、ベトナムビジネスに特化したコンサルティング会社として、国営企業への出資・M&Aから市場参入戦略まで、一貫したサポートを提供しています。「どの企業が対象になるのか」「どのタイミングで動くべきか」といった具体的なご相談にも、現地ネットワークをもとにお答えします。以下のサービスをご活用ください。
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フィ ホア(ONE-VALUE 株式会社 代表取締役)
2008年、日本政府(MEXT)の国費留学生として来日。大阪大学大学院 経済学研究科経営学系を修了後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に入社。ベトナム事業拡大のリーダーに就任し、多くの日本企業のベトナム進出を成功に導く。約10年にわたる経営コンサルティング実務経験を有し、主な専門領域は再生可能エネルギー、木材製造、医療、IT、農業、教育等。2018年、ベトナムに特化した経営コンサルティング会社ONE-VALUE 会社を設立。日本とベトナムの経済・ビジネス関係の活性化、日本在住の外国人人材の生活向上という2つのビジョンを掲げています。
