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ベトナム新首相に元日本留学生のレ・ミン・フン氏~今後の日越戦略における意味~ 

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ベトナム新首相に元日本留学生が選出 

 2026年4月、ベトナム国会はレ・ミン・フン氏を新首相に選出した。今回の人事が注目される理由は、単に「日本で学んだ経験がある首相」が誕生したからではない。より本質的なのは、同氏がベトナム国家銀行(中央銀行)出身であり、経済・金融・国際協力の実務に長く携わってきた、ベトナムでも比較的珍しい経済官僚型リーダーである点にある。ベトナム政府ポータルによると、同氏は1993年以降、国家銀行の国際関係、国際協力、外国為替、組織部門などを歴任し、のちに副総裁、総裁を務めた。 

 さらに、レ・ミン・フン氏は1997年に埼玉大学大学院政策科学研究科のTransition Economy Programを修了している。加えて、総裁就任後は世界銀行、国際通貨基金、アジア開発銀行の意思決定にも関与してきたとされる。つまり同氏は、単なる日本留学経験者ではなく、日本の制度感覚と国際金融の論理を理解しながら、ベトナム経済の中枢を見てきた人物といえる。 

出典:現地報道(ベトナム政府電子新聞) 

 この首相交代は、日系企業にとって決して小さなニュースではない。ベトナム進出を検討する日本企業にとって重要なのは、「親日的かどうか」という抽象的な印象ではなく、制度の継続性、行政執行の安定性、投資環境の予見可能性が高まるかどうかである。その意味で、経済・金融に強く、日本を知る首相の誕生は、ベトナム市場調査、ベトナム進出戦略、現地パートナー探索、M&Aの判断において見逃せないシグナルとなる。 

ベトナム新首相レ・ミン・フン氏とは~元日本留学生で中央銀行出身という異色の経歴~ 

ベトナムの政治指導者には、それぞれ違う強みがある。これまでは、行政、党務、組織運営、地方統治、治安維持などの分野で強みを持つ人物が国家運営を担ってきた。しかし、国家経済の運営を本当の意味で理解し、金融システム、為替、投資家心理、国際資本との関係まで立体的に見られる人物は決して多くない。レ・ミン・フン首相の経歴が注目されるのは、まさにこの点にある。 

 同氏は国家銀行で長く勤務し、国際協力や外国為替管理、組織運営を経験した後、副総裁を経て総裁に就任した。GRIPSの情報でも、日本留学後に国際協力、外国為替管理、国際プロジェクト活動に従事し、国際金融機関の意思決定にも深く関わってきたことが示されている。これは、同氏が単なる官僚型ではなく、国際経済の論理でベトナムを見られる政策実務型でもあることを意味する。 

 加えて、見落としてはならないのは、彼の出発点が外国語と国際経験にあることである。外国語を学んだ人物は、単に言葉を覚えるだけではない。他国の制度、他者の論理、異なる価値観に接続する訓練を受ける。つまり、物事を国内の常識だけで閉じずに見る回路を持ちやすい。輸出、FDI、通貨安定、国際資本との関係がそのまま成長に直結するベトナムにおいて、首相がもともと“外を見る”素地を持っていることは大きい。 

元日本留学生の首相誕生が注目される理由~日本企業の思考回路を理解しやすい可能性~ 

新首相が「日本で学んだ経験がある人物」であることの意味において重要なことは、「日本が好きか」という情緒的な話ではなく、より現実的な点にある。日本という国がどういうロジックで政策を組み、企業がどういう条件で投資判断を行い、官民がどのように意思決定を積み上げていくのか、その温度感をある程度体感している可能性が高いという点が重要なのである。 

 日本企業は、派手なスローガンや短期的な成長率だけでは動かない。制度の継続性、執行の安定性、認可の透明性、地方行政との調整可能性、長期投資に耐えうる信頼性を重視する。日本で学んだ人材は、この感覚を理解しやすい。したがって、レ・ミン・フン首相の誕生は、今後の日越関係において、ベトナム政府が「日本に分かりやすい政府」となっていく可能性を示している。もちろん、新首相個人の経歴だけで全てが決まるわけではないが、日本企業にとって対話の質が上がる可能性は十分にある。 

前首相との違いから見える政策運営の変化 

今回の首相交代を経済面から見ると、前政権との違いは比較的明確である。前首相ファム・ミン・チン氏は、政治的な推進力や統率力に優れたリーダーであった一方で、そのキャリアの軸は公安、行政、組織運営に近かった。これに対して、レ・ミン・フン首相は中央銀行出身であり、経済・金融の仕組みを専門的に見てきた人物である。だからこそ、市場が期待しているのは、単なるメッセージの強さではなく、「案件が通るようになるのか」「資金が回るようになるのか」「企業が投資しやすくなるのか」という、より具体的な変化である。 

 彼の最大の強みは、やはり「経済を読める」ことにある。中央銀行は、国家経済の神経系に最も近い場所である。そこでは単に景気が良いか悪いかを見るのではなく、インフレ、信用供給、不良債権、為替、防衛ライン、資本流出入、投資家信認、銀行システムの安定性といった、経済の土台を日常的に見続けることになる。そのため、レ・ミン・フン首相は国内政治の論理だけでなく、国際金融の論理でもベトナム経済を読める数少ない人物だといえる。​ 

2026年以降のベトナム経済はどう変わるか 拡大の時代から最適化の時代へ 

今のベトナム経済は、もはや勢いだけで伸びる局面ではない。投資案件の認可をどう速めるか、工業団地やインフラ、電力、不動産のボトルネックをどう解消するか、地方政府の萎縮や責任回避をどうほぐすか、公共投資をどのように実体経済へつなげるかといった課題が山積している。これらは精神論では解けない。経済を理解している人間でなければ、優先順位を誤るリスクがある。この意味で、2026年以降のベトナムに必要なのは、単なる拡大志向のリーダーではなく、「どこを先に動かせば経済全体が呼吸し始めるか」を見抜ける首相である。もしレ・ミン・フン政権がその強みを本当に発揮できるなら、今後のベトナムは“拡大の時代”というより、“最適化の時代”に入る可能性がある。すなわち、単に成長率の高さを競う段階ではなく、制度、インフラ、許認可、行政執行、民間投資環境を整え、成長の質を高める段階へ進む可能性がある。 

ベトナム進出に追い風か 日系企業が注目すべき3つのポイント 

 レ・ミン・フン首相の誕生は、ベトナム進出を検討する日系企業にとって、少なくとも三つの意味を持つ。第一に、許認可や制度運用の改善期待である。ベトナム進出では、投資登録、法人設立、ライセンス取得、土地・建設関連手続き、輸出入手続きなど、制度の運用面が大きなボトルネックになりやすい。経済・金融に強い首相が政策の優先順位を整理できれば、中長期的に企業の実務負担が軽減される可能性がある。 

 第二に、日本企業との対話のしやすさである。日本企業は、派手なスローガンや短期の成長率だけではなく、制度の継続性、執行の安定性、長期投資の予見可能性を重視する。日本で学び、日本の制度感覚に接した首相がトップに立つことは、日本企業がベトナム市場を再評価する材料になりうる。これは単なる親日イメージの話ではなく、日本企業の意思決定を理解しやすい政権への期待である。 

 第三に、民間経済と実務人材の価値上昇である。今後の日越経済関係では、「何社進出するか」よりも、「どの企業が、どの分野で、どこまで深くベトナムに根を張るか」が問われる。製造、物流、工業団地、品質管理、M&A、事業承継、インフラ整備などの実務領域で、日本企業の存在感は非常に大きい。だからこそ、日本を理解するベトナム人材や、日越双方の実務をつなげられる人材の価値は今後さらに高まる可能性が高い。 

新政権下で日本企業がまず着手すべきこと 

もっとも、首相の経歴が優れているからといって、自動的にベトナム進出が容易になるわけではない。ベトナムでは、中央の方針が明確であっても、地方政府や各省庁の実務に落ちるまで時間差が生じることがある。工業団地選定、ライセンス取得、現地法人設立、税務・会計・法務、人材確保、現地パートナー探索、サプライチェーン構築など、企業が現場で直面する論点は、依然として具体的かつ複雑である。 

ベトナム市場調査の重要性が高まる理由 

 だからこそ、今のタイミングでまず重要になるのがベトナム市場調査である。新首相の誕生によって、どの業界が追い風を受けやすいのか。どの地域が有望なのか。どの制度が見直されそうなのか。現地企業との提携、合弁、M&Aの可能性はどこにあるのか。これらを見極めるには、ニュースを読むだけでは不十分であり、業界構造、競争環境、消費者動向、規制、地域差まで踏み込んだ市場調査が必要となる。 

 当社(ONE-VALUE)はベトナム市場調査・戦略立案として、デスクリサーチ、ヒアリング、企業調査、店頭調査、消費者調査、競合調査、ベトナム企業調査・プレDD、フィジビリティスタディ、現地視察調査、事業戦略の策定、新規ビジネス創生、社内提案資料作成支援、政策提言、業務改善コンサルティングまで幅広く提供している。単にレポートを出すだけではなく、意思決定に必要な材料を整え、ベトナム事業の仮説づくりまで伴走できる点が特徴である。ベトナム進出を成功させるためには、「何となく追い風だから行く」のではなく、「自社にとって本当に勝てる市場か」「どのセグメントから入るべきか」「パートナー連携と単独進出のどちらがよいか」を見極めることが欠かせない。そのため、ベトナム市場調査は今後さらに重要になる。 

ONE-VALUEの市場調査サービスのご紹介 ⇒ ベトナム市場調査・戦略立案

有料レポートのご紹介 ⇒【2026年「黙認」の終わりがチャンスになる ーベトナム次の5年を読む

ベトナムM&A・買収の重要性はさらに高まる

 ベトナム進出の方法は、新設法人や工場建設だけではなく、今後より重要性を増す可能性があるのがベトナムM&Aと合弁である。民間経済を重視する流れが強まれば、現地企業との提携や資本参加を通じて、スピード感を持って市場参入する選択肢の価値が一段と高まる。特に、販路、人材、サプライチェーン、許認可、土地、既存顧客基盤などを一気に獲得したい企業にとって、M&Aは有力な進出手法となる。 

 ONE-VALUEは、ベトナムM&A・買収支援として、M&Aターゲット探索、企業調査・プレDD、M&Aアドバイザリー、合弁アドバイザリー、デューデリジェンス、企業価値評価(バリュエーション)、PMI業務まで提供している。これは、案件探索から買収後統合までを視野に入れた支援メニューであり、ベトナムM&Aを本格的に検討する日系企業にとって、かなり実務的な内容である。 

 ベトナム市場では、情報の非対称性や現地企業の実態把握の難しさが常に課題となる。そのため、M&Aや合弁では、ターゲット探索の質、初期調査の深さ、デューデリジェンスの精度、そして買収後の統合支援が極めて重要になる。政策環境が変わる局面では、こうした支援の重要性はさらに高まる。 

ONE-VALUEのM&A支援サービスのご紹介 ⇒ ベトナムM&A・買収支援事業

有料レポートのご紹介 ⇒【ベトナム 2025年 国有企業 資本売却予定企業網羅リスト

ベトナム営業・販売代行、OEM先探索、実務支援まで――進出後に必要なこととは 

 ベトナム進出は、拠点を作って終わりではない。むしろ重要なのは、その後に売上を作り、事業を回し、現地で継続的に成長できるかどうかである。つまり、進出後の営業、販路開拓、サプライヤー探索、運営実務の整備こそが成否を決める。 

 ONE-VALUEはベトナム営業・販売代行として、営業戦略立案、営業・販売活動代行、サプライヤー・OEM先探索、輸出入手続き支援、代理店業務などを提供している。さらに、ビジネスサポートとして、通訳・翻訳、人材紹介・派遣、マーケティング・プロモーション支援も行っている。また、調査よりも安価かつ迅速に意思決定を支援するベトナム業界レポートや企業データ販売も展開している。これは、日系企業にとって非常に実用的である。たとえば、ベトナム市場に関心はあるが、いきなり大規模投資は難しい企業であれば、まずは営業・販売支援や市場調査から始めることができる。すでに現地進出している企業であれば、OEM先の見直し、販路拡大、代理店管理、人材採用、翻訳・通訳、レポート活用など、進出後の運営課題に応じて必要な支援を受けられる。つまりONE-VALUEは、「進出する前」だけでなく、「進出した後」にも支援の幅が広い。 

ONE-VALUEの営業・販売代行支援サービスのご紹介 ⇒ ベトナム営業・販売代行

有料レポートのご紹介 ⇒【ベトナム飲食店投資ガイドブック

今後のベトナム進出・M&A・市場調査を牽引するのは誰か 

 こうしたベトナム市場調査、進出支援、M&A、営業支援を語るうえで、最後に触れておきたいのが、当社(ONE-VALUE)代表取締役フィ ホアの経歴である。2008年に日本政府(MEXT)の国費留学生として来日し、大阪大学経済学部を卒業後、大阪大学大学院を修了している。その後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社でベトナム事業拡大のリーダーとして勤務し、多くの日本企業に対して、ベトナム市場調査、進出戦略策定、M&Aアドバイザリーを提供したのち、2018年に当社を創業した。10年以上にわたる経営コンサルティング実務経験に加え、日本企業のベトナム進出を数多く支援し、JP-MIRAIの外国人代表専門家・アドバイザー就任、日越関係樹立50周年で貢献した人物にも選出されている。 

 レ・ミン・フン首相の誕生によって、日本を理解し、経済や制度の実務を踏まえて日越双方をつなげられる人材の価値が高まるとすれば、当社(ONE-VALUE)の強みもまさにそこにある。日本で学び、日本企業の意思決定を理解しながら、ベトナム市場の現場にも深く関わってきた代表が率いるからこそ、市場調査、進出支援、M&A、営業支援を机上論で終わらせず、実務まで落とし込む支援がしやすい。単なるサービスの幅広さだけでなく、それを率いる代表自身が日越ビジネスの橋渡しを体現している点にもある。 

 日系企業にとっても重要なのは、期待論で終わらず、いま市場調査を始めるのか、パートナー候補を探すのか、M&Aターゲットを洗うのか、営業支援を活用するのか、具体的に動くことである。ベトナム新首相の誕生は、様子見を続ける理由ではなく、むしろ「調査と実行を前倒しすべきサイン」と捉えるべきかもしれない。 

ONE-VALUEでは、ベトナム進出、制度対応、M&A、業界別の成長機会など、日本企業の実務に直結するテーマでセミナー・ウェビナーを継続的に開催している。記事やレポートでは伝えきれない最新動向や、意思決定の現場で本当に必要となる論点を、実務目線で分かりやすく整理してお届けしている。 

「制度改正の影響をどう見ればいいか」「どの業界にどのような参入余地があるのか」「M&Aや新規事業をどう具体化すべきか」といったテーマに対し、単なる情報提供ではなく、次のアクションにつながる形で解説するのがONE-VALUEのセミナーの特徴である。 

直近では、ベトナム国内で進む制度変更を踏まえ、日本企業が押さえるべき法人税、VAT、移転価格税制などの実務ポイントを整理する「ベトナム税制改正と日本企業が知るべきポイント」、また、業界別の成長余地とM&A機会を読み解く「ベトナムアパレル市場の今と買収機会」といったテーマのセミナーを開催している。 

セミナーのご紹介 ⇒ ベトナム進出・最新動向セミナー

ベトナム市場の理解を深めたい企業はもちろん、進出判断、投資判断、M&A検討、現地事業の拡大を具体的に前へ進めたい企業にとって、実践的なヒントを得られる機会をご提供するものである。 

まとめ

 レ・ミン・フン新首相は、元日本留学生であるだけでなく、国家銀行出身で国際金融にも通じた経済官僚型リーダーである。この点は、今後のベトナム経済と日越関係において小さくない意味を持つ。日本企業が重視する制度の安定性、政策の予見可能性、執行の実務性という観点から見ても、今回の首相交代は注目に値する。 

 ただし、重要なのは期待ではなく実行である。ベトナム市場調査、進出戦略立案、現地パートナー探索、ライセンス取得、M&A、営業・販売支援まで具体策を打てる企業こそ、新政権下の変化を事業機会に変えられる。だからこそ、ベトナム進出を検討する企業にも、すでに進出済みで戦略を見直したい企業にも、ベトナムビジネスに関する市場調査、進出支援、M&A、営業支援、実務支援の重要性が増すことが考えらえる。 

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