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ベトナム現地化を遂げた日系清掃企業の副社長に聞く│日本水準の清掃をベトナムに

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ベトナム特化コンサルティング会社、ONE-VALUE株式会社によって運営されています。

はじめに

本レポートでは、Vietbizを運営する、ベトナムに特化した経営コンサルティング企業であるONE-VALUE株式会社が、M&Aアドバイザリー業務を提供してベトナム進出を支援した日本企業の成功事例を紹介していく。

今回は、M&Aによってベトナムに進出するだけでなく、要職に現地人材を置いて操業するいわゆる「現地化」まで成功した企業の事例を紹介する。具体的には、企業事例の紹介及び深掘り、現地化のメリットを解説する。

Vietbiz編集部は今回、ベトナムでビルメンテナンス事業を展開する「Happy Clean Japan株式会社」の副社長である大石誠氏にお話を伺うことができた。HappyClean Japan社は、日本の三峯産業株式会社が出資し、株式の50%を所有する関連会社である。

本レポートを通じて、日本企業のベトナム進出、M&A、現地化経営の一助となれば幸いである。

HappyClean Japan副社長の大石誠氏

三峯産業(株)の紹介

三峯産業株式会社は、1962年に創業した老舗のビルメンテナンス企業で、日本全国でビルメンテナンスサービスを展開している総合建物管理会社である。

特に高所部分のガラス清掃では国内トップクラスの技術を持っており、数々の有名な高層ビルでの実績を持っている。ビルメンテナンス以外では、建物の設計監理、施工やフード事業として静岡県を中心にビアードパパの運営を行っている。

また、これまでに外国人人材の受入れも積極的に行っている。今回の関連会社の設立は、

  • 外国人人材の確保及び現地での専門教育の実施
  • 日本の清掃と安全に対する技術の提供によるベトナム市場の拡大
  • 日本で働いた外国人人材の経験を活かせる場所の提供

の3点を目的としている。

三峯産業のホームページはこちら

HappyClean Japanの概要・成り立ち

Happy Clean Japan社の前身は「Happy Clean社」という会社であった。同社はベトナム南部で15年以上に渡ってマンション・病院・学校・工場などの多種多様な建物に対して清掃サービスを提供してきており、ベトナムでは老舗の地場ビルメンテナンス企業である。

三峯産業はHappy Clean社と協議を進め、2022年にHappy Clean Japan社を新設し、2023年に三峯産業が50%の株式を取得した。前身となったHappy Clean社は解散することとし、リソースを新会社Happy Clean Japan社に受け継いだ。後述するHappy Clean Japan社の主要株主・役員であるタン氏とトゥ氏は、それぞれ旧会社の創業社長と副社長であり、引き続き経営にあたる。
基本サービスは変わらず、日常清掃、定期清掃、高所ガラス清掃、特別清掃など、顧客のニーズに応じて様々なビルメンテナンス・清掃サービスを提供している。

このように、Happy Clean Japan社では、社長、副社長、業務部長などの殆どの要職に、ベトナム人材を置いており、経営の現地化を図っている。三峯産業のノウハウを活かした日本式サービスを日系企業に提供するだけでなく、多くのベトナム現地企業に対してもサービスを提供している。

会社概要

会社名Happy Clean Japan株式会社
設立2008年にHappyClean社を設立
2022年にHappyClean Japan社を新設
株主三峯産業(株)50%
DINH CHI THANH氏35%
DO THI MINH THU氏15%
従業員数400名
所在地Topaz City, 39 Cao Lo, Ward4, District8, HCMC
代表DINH CHI THANH
役員構成代表取締役会長 大石 喜央
代表取締役社長 DINH CHI THANH(タン)
取締役副社長  大石 誠
取締役副社長  DO THI MINH THU(トゥ)
HPこちらをクリック

Happy Clean Japanの特徴・強み

Happy Clean Japan社の強みは、大きく3つが挙げられる。

日本式マナー教育を徹底

Happy Clean Japan社では、清掃の教育に加えマナーや礼儀に関する教育を重視している。ただ単に施設を清掃するだけでなく、利用者が気持ちよく過ごせる事が最大の目的である。手を胸に当ててお辞儀をするポーズは、感謝の気持ちを表現している。

また、定期的なコミュニケーションスキルや問題解決といった管理者向けのソフトスキル教育など、高いレベルで顧客に満足してもらうため、教育に力を入れている。

また、三峯産業が出資する以前から、前身のHappy Clean社でもマナーや礼儀に対する教育を元々実施していた。そのため、サービス水準の向上については始めから両社間で齟齬が少なかった。このように、サービス・商品の提供に関する価値観が近い会社をパートナーとして選ぶことは、現地化を成功させる重要な要因である。

挨拶のトレーニング。利用者に気持ちよく過ごしてもらうという価値観は、両社の共通認識。

日本で60年、ベトナムで15年の経験と知識を有する

Happy Clean Japan社は、日本で60年ビルメンテナンスサービスを提供してきた三峯産業と、ベトナムで15年ビルメンテナンスサービスを提供してきた旧Happy Clean社が協力して設立された会社である。

そのため、日本の高品質なビルメンテナンスの技術・ノウハウと、ベトナム現地の商習慣やネットワークを併せ持っていることが強みである。

特にホーチミンを中心とするベトナム南部地域での実績が多く、マンション・学校・病院など様々な施設に対してサービスを提供している。また、Happy Clean Japan社の社長はベトナム南部清掃協会の会長でもあり、清掃に関するベトナム現地でのノウハウとネットワークを多く有している。

既に現地での基盤を有している人材を要職に置くことも、現地化の成功要因の一つとなっている。

日本人対応が可能である

ベトナム現地に進出した日系企業の課題として、ベトナムのローカル会社とのやり取りが困難であることが挙げられる。Happy Clean Japan社では、日系企業向けには大石副社長が対応可能であり、日系企業の顧客は安心して、ベトナムで清掃サービスを受けることが可能である。

このように日系の顧客は日本人が、ベトナムの顧客はベトナム人が対応というように窓口・担当を分けることにより、効率的な運営を行うことができる。

Happy Clean Japan社のサービス内容

本章では、Happy Clean Japan社がベトナムで提供するサービスを紹介する。

以下のとおり、大きく分けて4つが挙げられる。

日常・定期清掃

日常・定期清掃とは、施設の日々の汚れに対して行う清掃であり、Happy Clean Japan社ではオフィス・テナントビル・病院・工場・ショッピングセンター・学校など、幅広い施設に対してのサービス提供が可能である。モップやタオルを使用しての清掃から、専用機械を導入した効率的な清掃まで、施設の仕様や顧客の要望に合わせたサービス提供が可能である。

高所ガラス清掃

高所ガラス清掃とは、ロープやゴンドラなどを利用した外面ガラスの清掃である。Happy Clean Japan社では、窓ガラスだけでなく、外壁塗装や窓サッシの修理等も可能である。

日本では、施設の用途にもよるが、高所ガラス清掃は1年に3~6回行われるケースが多い。しかし、ベトナムでは1年に1~2回程度であり、サービスを提供する事業者も限られている。

Happy Clean Japan社では、ガラス清掃専属チームを設けており、高層建築物が急増するベトナムにおいて、安全で高品質のサービスを提供する。

工場内清掃

Happy Clean Japan社は、普段清掃できないような工場の高所部分の清掃を行うことができる。工場内は様々な物があり、作業面では工夫が必要であるが、高所作業車や足場を組むなど、その施設に合った機材を準備して作業を実施することができる。

特に安全衛生管理が重要視される飲食関係の工場向けにも、同社は日系の仮設機材会社と協力し、足場の設置から清掃作業まで日本の安全衛生基準で作業を行うことができる。

光触媒コーティング

光触媒コーティングとは、照明や太陽の光を使いウイルスの不活化、有害物質の分解、汚れを落としやすくするコーティングのことである。光触媒コーティングによって得られる効果は大きく分けて下記の通り5つある。

  1. 抗菌、抗ウイルス
  2. 異臭除去
  3. カビ防止
  4. 防汚
  5. 大気浄化

光触媒コーティングを提供できる会社はベトナムに少ない。清掃だけでなく、ウイルス対策、カビ対策、防汚の観点からベトナムのローカル企業では提供できないサービスを提供している。

今後について

Happy Clean Japan社の今後のベトナムでの事業展開について、大石副社長は新たな事業分野への挑戦を強調し、協業できる日系企業との連携を広く模索している。

大石副社長は、特に今後ベトナムで展開していきたい事業として、リサイクル事業と教育事業を挙げた。

リサイクル事業について

ベトナムの廃棄物処理問題は深刻である。ベトナムでは、一般ごみと資源ごみとを分別せず、混ぜて捨てている。また、プラスチックのリサイクル率も約30%と言われており、約86%である日本と比較すると低い水準である。

Happy Clean Japan社は日系清掃企業として、この課題の解決に寄与すべく、ゴミの排出者やリサイクル業者等と協力し、ベトナムでのリサイクル事業を推進する方針である。

教育事業について

特定技能及び実習生への専門教育は、日本側の教育体制が整っていないことから、会社側も実習生側も苦労をしているケースが散見される。

Happy Clean Japan社では、ベトナム現地での専門教育を行っている。日本入国前に清掃知識を習得し、実際の業務に就いた際も柔軟に対応することが出来る。また、事前に母国で学ぶことにより、日本での仕事に対する不安も解消している。

このような現地での専門教育は、外国人人材を採用している清掃会社では必要だと考えており、自社内だけでなく他社様への展開もしていく方針である。

お問合せ

本レポートの内容やHappyCleanJapan社へのコンタクトについては、以下のメールアドレスにご連絡いただければ幸いである。

contact@onevalue.jp

まとめ

本レポートでは、ビルメンテナンス・清掃分野でベトナムに進出したHappy Clean Japan社の大石副社長にお話を伺うことが出来た。Happy Clean Japan社は、社長等の要職に現地のベトナム人材を置く現地化を進めつつ、ベトナムで事業展開を行っている。現地化はベトナムに限らず、その国の商習慣や市場、人材募集への対応を円滑にすることができ、事業展開において様々なメリットがある。

本レポートでは、ベトナムにおける現地化の成功例として、Happy Clean Japan社の事例を紹介した。

Happy Clean Japan社は、ベトナムで日本水準のビルメンテナンス・清掃サービスを提供するだけでなく、今後は新しい事業領域にも参入する方針である。主にはベトナムにおけるリサイクル事業と教育事業が挙げられ、協業するパートナーを広く探索している。

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