はじめに
ホーチミン市で開催された化粧品業界のサプライチェーンに関するイベントで専門家が引用したStatistaのデータによれば、ベトナムの美容・パーソナルケア市場は2025年に27億4,000万ドル規模に達し、2029年まで年率約3.3%で成長する見通しである。中でもスキンケア・化粧品は最も成長の速い分野であり、肌の健康に対する消費者の関心の高まりが背景にある。なお、市場規模の数値は調査機関によって集計範囲が異なるため、事業計画の策定に当たっては対象とする分野を明確にしておく必要がある。
所得水準の向上に加え、電子商取引の拡大も重要な成長要因である。調査会社Metricによれば、2024年のEC化粧品販売額ではShopeeが67%を占めて首位を維持する一方、TikTok Shopは販売額を110%伸ばし、シェアを17%から27%へ拡大した。さらに2025年第4四半期には、美容・パーソナルケア分野でTikTok Shopのシェアが50%に達し、Shopee(49%)をわずかに上回っている。
2019年に報じられたホーチミン市化粧品・化学品協会のデータ(やや古い数値である点に留意が必要)によれば、ベトナムにおける外国ブランド化粧品の販売シェアは韓国が30%で最も大きく、EU(23%)、日本(17%)、タイ(13%)、米国(10%)がこれに続く。2025年の輸入データによると、ベトナムの化粧品(HSコード3304)輸入において、韓国からの輸入額は前年比で増加し、輸入額シェアも約41%に拡大した。一方、日本からの輸入額は減少したものの、総輸入額の縮小を背景に、日本の輸入額シェアは約6.0%から約6.5%へ小幅に上昇した。
ベトナムの化粧品(HSコード3304)主要輸入相手国・上位5か国および日本(単位:万ドル)
| 順位 | 国名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2025年シェア |
| 1 | 韓国 | 8,782 | 9,389 | 14,891 | 19,190 | 21,143 | 41.0% |
| 2 | 中国 | 686 | 919 | 27,465 | 4,755 | 7,169 | 13.9% |
| 3 | フランス | 9,120 | 3,913 | 4,528 | 4,089 | 4,464 | 8.7% |
| 4 | タイ | 1,378 | 1,629 | 1,936 | 2,810 | 3,769 | 7.3% |
| 5 | 米国 | 2,843 | 2,716 | 2,719 | 20,063 | 3,696 | 7.2% |
| 6 | 日本 | 3,410 | 5,340 | 4,099 | 3,755 | 3,356 | 6.5% |
| 総計 | 30,198 | 30,057 | 61,781 | 62,177 | 51,595 | 100.0% |
出所:Global Trade Atlas(2026年7月23日時点)
日系化粧品は一定の地位を確立しているものの、競争圧力は大きい。大衆向け小売チャネルで韓国ブランドと製品投入のスピード、マーケティング、価格で正面から競うことは、中堅・中小規模の日系企業にとって不利である。品質面での信頼性という強みは、買い手が根拠に基づいて判断するチャネルでこそ発揮しやすいと考えられる。
Metricによれば、2025年第4四半期のEC美容・パーソナルケア分野の店舗数は前年同期比13%減の5万8,600店となった。販売額が伸びる一方で店舗数が減少していることは市場が選別の段階に入ったことを示しており、公式ストアが販売額の6割超を占めるなど、消費者が品質や真正性を重視する兆しもみられる。同時に規制当局も、並行輸入品、偽造品、届出受理番号を取得していない製品がECサイトやSNS上で販売されている状況への対応を強化している。こうした環境が、本稿で取り上げる企業がクリニックとの協業を検討する背景となっている。
日系化粧品企業の概要
同社の説明によれば、同社は約25年にわたり美容サロンを運営しており、サロンの現場で得た顧客の肌状態や施術経験を製品開発に活用している。スキンケア製品の企画、処方、開発は自社で行い、製造は大阪を含む外部工場へ委託している。日本国内ではエステティックサロン向けに加え、美容クリニック向けのOEM製品の開発実績もあるという。
自社開発と製造委託を組み合わせたこのモデルにより、同社は大規模な設備投資を伴わずに処方の主導権を維持している。日本のクリニックとの取引経験は、美容医療分野の顧客との協業の進め方を理解するうえで役立つと考えられる。ただし、この経験がベトナムの法規制や専門的な評価基準を満たしていることを意味するわけではない。これらは、ベトナムでの届出手続きや現地クリニックでの評価を通じて個別に確認する必要がある。
また、今回紹介されたブランドは日本のエステティックサロンで蓄積した知識と経験をもとに開発されたもので、銀座のサロンで約15年間使用されてきた実績がある。基本ラインはクレンジング、ローション、クリームの3ステップで構成される。
各製品には共通成分としてトルマリン(電気石)が配合されている。同社は、圧力によって微弱電流が発生するトルマリンの特性を利用して製品を設計していると説明した。ただしヒアリングの場では、実際の使用条件下でこの特性がどの程度発揮されるかを示す具体的な測定データは提示されていない。この点は今後、データによって裏付けていく必要がある。
なお、クリームは使用方法に特徴があるため、同社は必要に応じて使用方法の説明やレクチャーを行う用意があるとしている。
美容施術後のケア製品としての位置付け戦略
ヒアリングによれば、同社は一般消費者向けに広く販売することのみを目的としているわけではない。美容クリニック、美容医療機関、エステティックサロンといったプロフェッショナル環境での使用を想定している。ベトナムのクリニックとの意見交換では、美容施術後のプロフェッショナルなホームケア製品として活用する方向性が同社から提示された。
対象となる肌質と使用場面
同社によれば、製品はエイジングケアを主軸としつつ、敏感肌を含む幅広い肌質を対象とし、レーザー等の美容施術後の回復ケアへの使用も想定している。これはあくまで同社による提案であり、各対象への適合性はクリニックでの評価を通じて確認されることになる。
| 位置付けの観点 | 内容(同社の提案) |
| 主な用途 | エイジングケア |
| 対象範囲 | 敏感肌を含む幅広い肌質 |
| 使用場面 | 美容施術後(レーザー施術後を含む)の自宅でのケア |
専門チャネルを選ぶ根拠
コンサルティングの視点から見ると、専門チャネルを選択することには一定の合理性がある。ただし、以下の論点は結論ではなく、検証を要する仮説として捉えるべきである。
- 第一に、大衆向けチャネルでの直接的な競争を避けられる点である。EC・小売チャネルでは広告、インフルエンサー起用、販促への多額の投資が求められる。一方、クリニックでは医師や専門スタッフが製品を選定し、患者に案内するという異なる論理で購買が行われる。もっとも、専門チャネルにも評価、スタッフ研修、各施設との関係維持といった固有のコストが発生する。参入コストの総額が大衆向けチャネルより低くなるかどうかは、具体的な試算によって確認する必要がある。
- 第二に、専門家による推奨を活用できる可能性である。医師の推奨は、患者が新しい製品を使用する際の安心感につながり得る。ただし、この要因が購入や継続購入にどの程度影響するかは、患者調査や実際の販売データによって検証する必要がある。
- 第三に、製品特性との適合性である。使用方法の説明を要する製品であっても、クリニックであればスタッフが患者に直接指導でき、誤った使用のリスクを抑えられる。
- 第四に、美容施術の拡大に伴う需要である。美容整形サービスや各種美容施術、アンチエイジング製品の拡大は以前から業界で指摘されており、施術後の自宅ケア製品の需要の土台となり得る。
一方で専門チャネルには、初期の販売規模が小さく、関係構築に時間がかかり、各クリニックの取り組み姿勢に左右されるという制約もある。したがって、専門チャネルはデータと信頼を蓄積するための足掛かりと位置付け、そのうえで他チャネルへの展開を検討するのが現実的である。
ベトナムの美容クリニックの視点
日系企業側の提案に対し、ベトナムのクリニック側が一貫して強調したのは、製品導入の判断を科学的根拠と客観的なデータに基づいて行うという姿勢である。この姿勢は個別のクリニックの慎重さだけによるものではなく、ベトナムで化粧品の効能表示や広告に対する規制が年々厳しさを増していることとも深く関係している。
背景にある化粧品規制の強化、特に特定の効能をうたう製品への監視
クリニックが根拠を重視する理由を理解するには、ベトナムにおける化粧品規制の動向を踏まえる必要がある。ここ2年ほどの間に、規制当局は届出書類、表示、広告の各段階で管理を強化してきた。特に厳しい監視の対象となっているのが、届出内容を超える特定の効能・機能をうたう製品である。
(1) 効能表示や広告が届出内容と一致しない製品の回収
当局は品質不良品だけでなく、届出内容と異なる効能を表示した製品も処分の対象としている。2025年、保健省医薬品管理局は、ラベルや使用説明に実際の効能を誇張する表現を用いたとして、表示と使用説明に関する規定に違反した製品2ロットを回収した。違反表示を製品から分離できない場合はロット全体の廃棄が義務付けられ、企業は他の製造ロットの点検も求められ、報告に虚偽があれば全面的に法的責任を負うことになる。また2025年11月には、同局が2社の化粧品計45品目について、製品情報ファイル(PIF)を保有または提示できなかったことを理由に全国的な販売停止と回収を命じた。うち1社は、同年6月にも流通品の処方が届出と一致しないことや効能表示の不備を理由に20品目の回収を受けていた。
(2) 製品情報ファイルを保管していない場合の制裁
根拠書類に関する要件は形式的なものではない。2025年には、製品情報ファイルを社内に保管していなかったことが保健省通達06/2011/TT-BYTに違反するとして、ある企業が化粧品届出の審査・受理を6か月間停止され、それ以前に提出した届出も無効とされた。効能に関するあらゆる主張には裏付けとなる書類が必要であり、当局の求めに応じて提示できる状態にしておかなければならない。
(3) 改正広告法による推奨者への責任拡大
改正広告法(法律第75/2025/QH15号)は2025年6月16日に国会で可決され、2026年1月1日に施行された。同法により、インフルエンサーは製品を紹介する際に広告主の信頼性を確認し、製品関連の資料を点検する義務を負い、使用したことがない、または十分に理解していない製品を紹介してはならないこととなった。虚偽の広告を行ったインフルエンサーは刑事責任を問われる可能性もある。製品を紹介・推奨する者は、その発言内容に根拠を持たなければならないという原則が、より明確になったといえる。
(4) 整備が進む新たな法的枠組み
現在、化粧品の管理は主に政令93/2016/ND-CPと通達06/2011/TT-BYT(改正を含む)に基づいて行われている。これと並行して、政府は政令93/2016/ND-CPに代わる化粧品管理に関する新たな政令の策定を進めており、最新の草案は製造、届出、輸入化粧品の管理、製品情報ファイル、表示・広告、安全性・品質の監視、回収までを対象としている。管理の厳格化と透明化が全体的な流れである。
こうした環境の下では、クリニックが製品を導入して患者に推奨することは、純粋な商業判断にとどまらない。クリニックが慎重になる理由は三つある。一つ目は専門家としての信用リスクである。推奨した製品が届出内容と異なる効能表示を理由に回収されれば、ブランドだけでなく医師と施設の信用にも影響が及び得る。二つ目は、特殊な機能をうたうほど立証の要求水準が高くなる点である。今回の製品はトルマリンによる微弱電流という特性を掲げ、レーザー施術後のケアを想定しているが、裏付けとなるデータがなければ効能の誇張と見なされるおそれがある。三つ目は、根拠に基づく推奨が共通の基準になりつつある点である。法律は製品を紹介する者に資料の確認と製品の理解を求めており、医師の推奨は専門職としての責任を伴うため、医療機関がより厳格な基準を設けることには相応の理由がある。
したがって、研究資料、臨床データ、使用前後の評価を求めるクリニックの姿勢は、単なる慎重さではなく、規制が厳格化する環境の中でリスクを管理するための手段である。日系化粧品企業にとっては、効能を裏付けるデータを初期段階から整備し、クリニックへの説明、届出書類の作成、その後の情報発信の根拠として一貫して活用することが求められる。
評価の原則は使用感にとどまらない
こうした背景を踏まえ、クリニック側は医療機関として製品を導入する以上、科学的根拠、医学的エビデンス、実使用データが重要であると強調した。単に使用感が良かったという水準ではなく、診察、肌診断、一定期間の使用、使用前後の比較に基づいて客観的に評価する必要があるという。また、同クリニックは多様な肌状態や症例を扱っていることから、実際の評価を通じて、どの患者層、どの施術後のケアに適用できるかを確認したい考えである。

写真: 専門スタッフが肌診断機器を用いて患者の肌状態を確認する様子
(出所:Pexels)
3.3. 議論された臨床評価の設計
評価方法についても、両者の間で具体的な意見交換が行われた。クリニック側は、まずサンプルを患者に実際に使用してもらう方向で検討しており、対象は肌タイプごとに最低5名程度を想定している。使用前には診察と肌診断機器による肌状態の確認を行い、使用後も一定期間ごとに再評価して初回の状態と比較する。評価期間について日系企業側は、製品1セットで約1.5か月使用でき、1か月程度の経過観察が可能であると説明した。経過を1週間、2週間、3週間、4週間と段階的に確認する方法についても議論された。
これは現在協議中の案であり、確定した研究デザインではなく、あらゆる化粧品に共通して法律で定められた試験基準でもない。1グループ5名程度という規模の結果は、社内での参考や次の段階の方向性を定めるには有用であるが、市場に向けた効能表示として一般化するには十分ではない。
サロンでの実績と医学的根拠の間にある差
日本では、製品の信頼はサロンでの長年の使用実績や固定客の評価によって築かれることが多い。しかし海外の医療機関に導入する場合、評価の基準は大きく変わる。
| 観点 | サロンチャネル | クリニックチャネル |
| 主な評価根拠 | 顧客の使用体験や実感 | 診察、肌診断、使用前後の比較データ |
| 意思決定者 | サロンオーナー、施術スタッフ | 医師、クリニック経営陣 |
| 必要な資料 | 製品紹介、使用方法の説明 | 研究開発資料、臨床データ、症例写真 |
| 信用リスク | 主にサービス品質に関わる | 医療の専門性に関わる |
データを事前に整えておけば、評価のプロセスを円滑に進めやすくなる。逆にデータが不足していれば、クリニックは一から評価を行わざるを得ず、期間が長引き、途中で協業が止まる可能性も高まる。
日本人を対象としたデータは参考として有用であるが、クリニック側はあくまでベトナム人患者での評価を行いたい考えである。高温多湿の気候、肌の特性、スキンケア習慣が日本と異なり得るため、日本での結果をそのまま当てはめることはできない。日系企業は、ベトナムでのデータを独自に蓄積すべき資産と捉える必要がある。
日系化粧品企業と現地クリニックの協業の進め方
評価用サンプルの送付
日系企業側は、クリニックでの専門評価用に製品サンプルを提供する方向である。両者は、通関を円滑にするため、梱包と書類に試験・評価目的のサンプル品であり販売用ではないことを明記する方針で合意した。
ただし、コンサルティングの立場から付言すれば、「サンプル品」「非販売用」という表記は貨物の目的を示すものにすぎず、それだけで輸入や通関が認められる十分条件とはならない。サンプル品であっても化粧品の輸入には現行の化粧品管理規定や税関規定が適用され、数量、書類、手続きなどが求められる場合がある。貨物が税関で留め置かれ評価の開始が遅れる事態を避けるため、事前に物流業者、輸出入の専門家、あるいは所管当局に確認しておくことが望ましい。
製品評価に関する合意書の締結
正式な評価の開始前に、両者は覚書や製品テストに関する確認書といった簡易的な合意書を締結する方向で合意した。クリニック側がドラフトを作成して日系企業側に共有し、日系企業側は内容を確認したうえで、役割や項目について必要に応じて修正意見を返す流れである。
コンサルティングの視点からは、この合意書において評価の範囲・目的・期間、各当事者の役割と責任、評価結果の利用権、技術情報と患者データの秘密保持、結果判明後の対応を少なくとも明確にしておくべきである。特に重要なのは評価結果の利用権である。企業が評価データや写真をマーケティングに使用できるのか、使用できる場合はどの範囲までかを事前に取り決めておかなければ、後にデータの活用が難しくなるおそれがある。また、利用が認められた場合でも、情報発信における結果の示し方は届出内容と広告規制に適合していなければならない。
エビデンス資料の共有
医療機関として製品を評価するため、クリニック側は日系企業に対し、製品の研究開発資料、日本人を対象に実施した評価データ、臨床評価データ、症例写真や使用前後の写真、その他製品の効果を示すエビデンス資料の共有を依頼した。
上記の資料について、実務上は英語またはベトナム語への翻訳や、医師が読みやすい形式への整理が必要となることが多い。相応の時間を要する作業であるため、サンプル送付と並行して準備を進めることが望ましい。
| 段階 | 内容 | 主担当 |
| 1 | 手続きの確認、サンプルの準備と送付 | 日系企業 |
| 2 | 評価に関する合意書のドラフト作成と締結 | クリニックが作成し両者で合意 |
| 3 | 研究開発資料、臨床データ、症例写真の提供 | 日系企業 |
| 4 | 初回診察、患者による使用、定期的な評価 | クリニック |
| 5 | 結果の取りまとめ、次の協業方針の検討 | 両者 |
ベトナム市場参入を目指す日系化粧品企業への示唆
チャネルごとの役割を明確にする
クリニックやサロンといった専門チャネルは、データと信頼を蓄積する場として適している。ただし初期段階で大きな売上を期待すべきではなく、評価、研修、関係管理に要するコストも織り込んでおく必要がある。EC・小売チャネルは規模が大きい反面、多額のマーケティング予算と高い運営能力を要するため、ベトナムでのデータとブランドストーリーが整った段階で検討するのが妥当である。また、皮膚科、美容皮膚科、美容外科など、対象とするクリニックの種類と想定する施術を事前に定めておくことも重要である。分野ごとにニーズや評価基準が異なるためである。
経験をデータに転換する
日本で蓄積した試験データ、症例写真、研究開発資料を体系的に整理し、適切な言語に翻訳しておくことが第一歩となる。微弱電流のような特殊な機能については、情報発信に用いる前に、実際の使用条件下での測定データを揃えておく必要がある。ベトナムでの評価は、肌タイプ別の対象人数、観察の時点、肌診断機器で測定する指標を明確にしたうえで設計し、評価データを将来の販売活動に使えるよう、利用権についても事前に合意しておくべきである。
法的対応とパートナー探索は並行して進める
評価の段階から輸入パートナーや販売代理店の探索を並行して進めておけば、良好な結果が得られた時点で円滑に事業化へ移行できる。パートナーの選定に当たっては、販売力だけでなく、届出の名義人となる能力や製品情報ファイルの保管体制といった法務面の対応力、さらにブランドの位置付けとの整合性も評価すべきである。サンプル輸入の手続きは送付前に確認し、化粧品管理に関する新政令の制定動向も注視して、書類を適時に見直すことが求められる。
結論
ベトナムの化粧品市場は成長を続けているものの、すでに選別の段階に入っている。消費者と規制当局はともに品質、原産地、法令順守への要求を高めており、とりわけ特定の効能をうたう製品に対する目は厳しい。こうした環境の下で、美容クリニックやサロンといった専門チャネルは、十分なエビデンスを準備できることを前提に、中堅・中小規模の日系化粧品企業にとって検討に値する選択肢である。
今回の事例から得られる教訓は三つある。日本での実績は出発点ではあっても十分な根拠にはならず、ベトナムのクリニックは客観的なデータとベトナム人患者での評価を求めていること。協業は明確な合意書と各段階の具体的な目標を伴い、段階的に進めるべきであること。そして化粧品と広告に関する法的枠組みが見直されつつある中、法的対応と販売パートナーの確保は並行して準備する必要があることである。
上記の事例のように、適切な参入チャネル、パートナーの評価基準、市場参入のロードマップを見極めるには、体系的な市場調査プロセスと、ベトナムにおける信頼性の高い企業ネットワークへのアクセス力が求められる。ベトナムにおける市場調査、経営戦略コンサルティング、M&A投資アドバイザリーを専門とするONE-VALUEは、こうしたプロセス全体を通じて日系企業を支援している。投資判断に先立ち需要規模、業界動向、競合環境、流通構造を調査する市場調査・経営戦略コンサルティング、業界特性や企業規模に応じた市場参入ロードマップを策定し関連法規の確認も行うベトナム事業展開コンサルティング、そして輸入パートナーや販売代理店の探索と紹介、輸出入手続き、現地での販売展開を担う販売代理サービスを提供している。
ベトナムでの提携パートナーを探している企業様はもちろん、机上の情報だけでなく、現場を知る実務者の生の声から市場の実態を掴みたいという企業様も、ぜひ一度ONE-VALUEまでお問い合わせいただきたい。
「調査の前に、まず現場の声を聞く。」
それが、より早く、より確実な意思決定への第一歩である。
