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ベトナムM&A│基本合意前の信用調査とDDの決定的な違い

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はじめに:なぜベトナムM&Aでは信用調査を2段階に分けるべきか

外国企業によるベトナム投資がM&Aへ大きくシフトするなか、対象企業やパートナーに関する情報確認は、取引成功を左右する重要な要素となっている。しかし、多くの日本企業が陥りやすい誤りは、対象企業に関する確認作業をすべて「調査」という一つの概念で捉えてしまうことである。

実際には、ベトナムM&Aでは、情報の深さと調査タイミングを分けて考える必要がある。信用調査は、主に二つの重要なタイミングで実施すべきである。

  • 基本合意書の締結前
  • デューデリジェンスの実施前

この二つを区別しなければ、企業は二つの問題に直面しやすい。一つは、慎重な判断が必要な段階で調査が浅すぎることである。もう一つは、まだ信頼性が十分に確認できていない対象企業に対して、早い段階から深く費用のかかる調査を行ってしまうことである。

信用調査を2段階のプロセスとして捉えることは、単に予算を最適化するためだけではない。初期段階で不適切な対象企業を除外し、M&Aプロセス全体の精度を高めるための戦略的なフィルターでもある。

基本合意前の信用調査とデューデリジェンス前の信用調査を分ける基準

コストを最適化し、リスク管理を効果的に進めるためには、日本企業は二つの調査段階を以下の基準で明確に区別する必要がある。

意思決定目的の違い

  • 基本合意前
     中心目的は、対象企業のスクリーニングである。企業は、相手方が正式交渉を始めるだけの基本的な信頼性を持っているかを確認する必要がある。これにより、実行可能性の低い対象企業に時間を使うことを避けられる。
  • デューデリジェンス前
     中心目的は、仮説の検証である。本格的な法務・会計デューデリジェンスに大きな費用をかける前に、疑義のある点をより具体的に確認する段階である。
  • 調査範囲と情報の種類の違い
  • 基本合意前
     大きなリスク兆候と全体的な信用力に重点を置く。調査範囲は、事業履歴、経営陣の信用力、実質的な所有構造、公表済みまたは非公表の法的紛争などである。
  • デューデリジェンス前
     初期接触後に浮かび上がった具体的な疑問点を深掘りする。調査範囲は、より狭いが深いものとなり、事業データの整合性、運営リスク、不明確な財務上の約束などに焦点を当てる。

調査結果の使い方の違い

  • 基本合意前
     調査結果は、基本合意書の締結へ進むべきか、それとも機会損失を避けるために中止すべきかを判断する材料となる。
  • デューデリジェンス前
     調査結果は、本格的なデューデリジェンスの範囲を設計するために使われる。これにより、日本企業はデューデリジェンスを広く浅く実施するのではなく、取引価値や価格交渉に影響する重要論点へ調査資源を集中できる。
基準基本合意締結前の信用調査DD前の信用調査
本質基礎リスクのスクリーニング(Risk Screening)仮説の検証(Hypothesis Verification)
情報対象公開情報および業界ネットワーク初期内部データおよび経営陣インタビュー
コスト・期間低い ― スピード重視中程度 ― 正確性重視
アウトプット価値基本合意締結判断DD範囲の設計および交渉戦略

基本合意前の信用調査:出発点での判断ミスを避けるためのスクリーニング

この段階の信用調査は、M&Aプロセスにおける最初の重要なフィルターである。中心目的は、当事者が基本的な法的文書で拘束される前に、対象企業の誠実性と実在性を確認することである。

調査の重点

ベトナムでは、会計帳簿の透明性が十分でない企業や、所有構造が複雑な企業も少なくない。そのため、信用調査では以下の点を確認する必要がある。

  • 事業履歴と実際の信用力
     対象企業が公表しているプロジェクトや顧客を本当に持っているかを確認する。また、現地ビジネス界におけるオーナー経営者の評判も確認する必要がある。
  • 実質的な所有構造
     最終受益者を確認し、制裁、隠れた権力争い、所有権紛争に関するリスクを避ける。
  • 主要な紛争の有無
     民事訴訟、土地紛争、未公表の税務滞納などが存在しないかを確認する。

デューデリジェンス前の信用調査:調査費用を最適化するための追加確認

基本合意書を締結した後、投資家と売り手の関係は次の段階に進む。しかし、法務・会計・税務を含む全面的なデューデリジェンスを開始する前に、デューデリジェンス前の信用調査を実施することが極めて重要である。

広範なスクリーニングから重点確認へ

この段階では、企業が実在するかどうかを確認するだけでは不十分である。売り手が初期の資料室で提供した情報が、どの程度信頼できるかを検証する必要がある。

  • 整合性の確認
     売り手が提供する事業数値を、市場データや関係者情報、主要顧客・サプライヤーから得られる情報と照合する。
  • 潜在的な運営リスクの把握
     サブライセンス、環境対応、契約外の約束など、財務諸表には出にくいリスクを確認する。

デューデリジェンス範囲の設計支援

この段階の調査結果は、財務・法務デューデリジェンスを実施する専門家にとって重要な入力情報となる。

すべての項目を網羅的に確認するのではなく、この信用調査で見つかった重要な疑義に集中することで、デューデリジェンスの効率を高めることができる。例えば、全体の100%を同じ深さで確認するのではなく、重要度の高い20%の論点に優先的に調査資源を配分することが可能になる。

これにより、デューデリジェンス期間を2〜4週間短縮し、専門家費用を大きく削減できる可能性がある。

日本企業は2段階の信用調査プロセスをどう設計すべきか

日本企業が効果を最大化するには、信用調査をその場限りで行うのではなく、標準化された投資管理プロセスの一部として組み込む必要がある。

実施上の原則

  • 二つの段階を混同しない
     それぞれの段階で、予算と目的を分けるべきである。第1段階は、初期判断ミスを避けるための保険費用である。第2段階は、実行効率を高めるための最適化費用である。
  • 第1段階ではスピードを重視する
     ベトナムで広い情報ネットワークを持つ助言会社を活用し、7〜10営業日程度で初期レポートを取得することが望ましい。
  • 第2段階では重点確認を行う
     投資仮説に基づき、企業価値評価を変えうる重要な弱点を検証する。
  • 情報の継続性を確保する
     前段階の調査結果は、次の調査段階の土台にするべきである。すでに確認済みの質問を繰り返すことは、相手方の負担を増やし、時間の浪費にもつながる。

この2段階プロセスを導入することで、日本企業は交渉における主導権を維持しやすくなる。また、取締役会に対して重要な投資判断を説明するための証拠資料も整備しやすくなる。

※画像挿入:M&Aにおけるリスクフィルターのファネルモデル。予備的信用調査から本格的デューデリジェンスまで

ONE-VALUEによる2段階信用調査支援

ベトナムにおいて、ONE-VALUEは、日本企業のリスク管理思考を深く理解する戦略アドバイザーとして、M&Aの各段階に応じた信用調査支援を提供している。

基本合意前の調査支援

ONE-VALUEは、案件が初期段階にあるうちから、日本企業がリスク兆候を早期に把握できるよう支援する。広範なネットワークとデータ収集力を活用し、オーナー経営者の信用力、潜在的な法務リスク、両社の戦略的適合性を分析する。

これにより、日本企業は、適切なタイミングで取引を中止するか、より高い確信を持って基本合意へ進むかを判断できる。

デューデリジェンス前の調査支援

案件が本格的な検討段階に入った後、ONE-VALUEは、情報上の「グレーゾーン」を明確にする支援を行う。専門家へのヒアリング、市場データとの照合、関係者情報の確認を通じて、売り手が提供した資料の実態を検証する。

この支援により、日本企業はデューデリジェンス範囲を科学的に設計し、調査を広く浅く行うことを避けられる。その結果、費用を抑え、取引完了までの期間を短縮しやすくなる。

ONE-VALUEの強み

  • 多文化チームによる支援
     日本的な論理性と規律、ベトナム市場の細かな実態理解を組み合わせて支援できる。
  • 意思決定に使える報告書
     報告書は論理的かつ重複・漏れの少ない構成で整理され、経営層が判断しやすい結論を提示する。
  • M&Aプロセス全体への伴走
     対象企業探索、信用調査、デューデリジェンス、買収後統合支援まで、一貫して支援できる。

ベトナムのように大きな可能性と多くの課題が共存する市場では、体系的な信用調査こそが、リスクを競争優位に変える鍵となる。

ONE-VALUE株式会社(ONE-VALUE Inc.)について

ONE-VALUEは、1,000社以上の日本企業のベトナム進出を支援してきた総合コンサルティングファームです。

  • 市場調査・戦略立案: 深い市場理解に基づくロードマップ策定。
  • M&Aアドバイザリー: ターゲット選定からPMIまでの一貫支援。
  • 販売・マーケティング代行: 代理店開拓から実務運用まで。
  • 撤退支援(事業整理・清算支援): 事業整理、法人解散、清算手続などのサポート。
  • エキスパート・プラットフォーム: 32分野5,000名以上の専門家への直接アクセス。詳細については、こちらよりご確認いただけます。

ベトナム市場への参入や事業拡大・撤退に関するご相談は、こちら(お問い合わせフォーム)から受け付けております。

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