ベトナムは、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)達成に向け、グリーン建築におけるエンジニアードウッド(Mass Timber)の製造・活用拠点として大きな潜在力を有している。年間約160億ドル(約2兆5,000億円)の輸出額を誇る世界有数の木材輸出入国として、同国の木材産業は従来の家具製造から、直交集成板(CLT)や集成材といった先進的な建築資材へと戦略的な転換を図っている。
このトレンドの背景には、エネルギー消費と炭素排出の大きな割合を占める建設部門の脱炭素化ニーズがある。エンジニアードウッドは、炭素貯蔵能力、軽量性、施工の迅速化といった利点から、コンクリートや鉄鋼に代わる最適なソリューションと目されている。現在、ベトナムにはアカシアを中心とした豊富な人工林資源があるものの、大規模建築の強度基準を満たすための高度な深加工技術が不足しているのが現状である。

出典: VNEconomy
この状況は、伝統的に高い木造建築技術とノウハウを持つ日本企業にとって、極めて有望なビジネスチャンスといえる。具体的には、CLT・集成材の製造技術移転、原材料産地での加工工場への投資、グリーン建築の設計コンサルティングなどが挙げられる。ベトナムの競争力のある原材料と日本の品質管理技術を組み合わせることで、欧米や日本といった環境基準の厳しい市場への輸出拡大、さらにはベトナム国内の持続可能な都市 への貢献が期待される。
