世界的なコンサルティングファームであるPwCの第29回世界CEO意識調査によると、ベトナムはアジアにおける投資先の上位3カ国に浮上している。域内CEOのベトナムへの投資関心度は、前年の8%から15%へと倍増した。これは、グローバル・サプライチェーン再編における戦略的拠点としての地位に加え、2026年から2030年にかけてベトナム政府が「2桁成長」を目指す強い姿勢が背景にある。具体的には、インフラ公共投資の20~30%増や、輸出成長率の8%(2026年予測)といった堅調な内部動力が挙げられる。

一方で、深刻な課題も浮き彫りとなっている。サイバーセキュリティのリスクが初めてインフレを抜き、CEOの最大の懸念事項(39%)となった。また、2026年の米国による関税政策の変更など、貿易障壁に対する懸念も86%に達している。特に注目すべきは「エージェント型AI」の活用による格差だ。AI導入に成功した企業は収益性が倍増する可能性がある一方、ベトナム企業の多くはAIに必要なデータアクセス権(わずか31%)や技術人材の確保(54%)という大きな壁に直面している。
PwCベトナムのマイ・ヴィエット・フン・チャン( Mai Viết Hùng Trân )CEOは、短期的な利益に固執せず、クリーンテクノロジーや高度な中間財生産へのシフトといった「能動的な再編」を提言している。M&AやIPOを通じた資本調達と技術導入を軸に、デジタル・サプライチェーンの波を捉え、持続的な競争優位性を確立することが、これからのベトナム市場における成功の鍵となるだろう。
