ベトナム経済・ビジネス情報サイト
× 閉じる
ベトナム鉄道産業ベトナム進出機会

ベトナム鉄道産業|日系企業の長期投資機

運営会社について
このメディアは、ベトナムビジネスの経営課題を解決する
ベトナム特化コンサルティング会社、ONE-VALUE株式会社によって運営されています。

ベトナムは内国鉄道産業の形成を目指す 

ベトナム鉄道産業は、個別路線の建設だけを議論する段階から、国内の産業基盤そのものを構築する段階へ移りつつある。2026年の政策方針では、技術、標準、設備製造、人材、管理・運営を含む国内の鉄道産業基盤を段階的に整備する方向性が示されている。 

2026年7月、ベトナム政府は商工省に対し、建設省および関係機関と連携し、「鉄道産業発展計画」を策定、提出、実施するよう求めた。同計画では、技術移転のロードマップと段階別の現地化率を明確化するとともに、国内の生産能力に適した技術水準の構造物・設備について、国内生産能力の形成を優先する方針が示されている。現地化、技術移転、高度人材育成を一体で進める考え方である。

鉄道が長期的な産業戦略に位置付けられていることを示すもう一つの動きが、2026年4月30日付の首相決定第21/2026/QĐ-TTg号である。同決定により、高速鉄道技術と都市鉄道技術が10の国家戦略技術分野に追加され、7月1日に施行された。科学技術省は、高速鉄道をインフラ、材料、建設、情報・信号、電力・牽引、制御、車両、運行・保守を含む統合的な技術群として位置付けている。

この方向性からは、ベトナム鉄道産業の長期目標が、完成システムを海外から購入することだけではないことが分かる。技術を受け入れ、習得し、将来的に国内で活用できる能力を高めながら、生産・運営基盤を形成することが政策上の重要なテーマとなっている。 

2026年10月には、政府が建設省に対し、鉄道産業複合施設の事前実現可能性調査報告書を作成するよう指示した。報告書では、製品の種類、技術の受け入れ・習得能力、投資方式、社会資源の活用可能性などを明確化することが求められている。鉄道産業基盤の形成が、政策方針から具体的な事業モデルの検討へ進みつつあることを示す動きである。 

ただし、現地化は、すべての車両、部品、システムを直ちにベトナム国内で生産することを意味しない。実際の参入可能性は、プロジェクト、設備の種類、技術基準、国内サプライヤーの能力、請負業者の選定方式、技術移転条件などによって異なる。 

ベトナムが国内能力の形成を進める一方、鉄道技術のバリューチェーン全体を直ちに国内で完結できるわけではない。この移行期間において、設備、技術、人材育成、運行管理、保守の経験を持つ外国企業との協力余地が生まれる。 

ベトナム鉄道産業における日経企業の長期事業・投資機会 

日本日系企業にとって、ベトナム鉄道市場の機会を、特定プロジェクト向けの車両や設備輸出だけで捉えるべきではない。現地化、技術移転、鉄道産業育成が継続されれば、設備供給から運行・保守まで、システムのライフサイクル全体で参入余地を検討できる。 

設備・部品の製造と段階的な現地化 

第一の方向性は、設備・部品の製造と供給である。 高速鉄道技術は、材料、構造、電力、信号、制御、車両、運行・保守など複数の分野からなる統合技術として位置付けられている。政府は、段階別の現地化ロードマップを策定し、国内能力に適した構造物・設備について国内生産能力を形成する方針を示している。 

したがって、日系企業はベトナムで生産システム全体を一度に構築するのではなく、製品群ごとに参入可能性を整理することが現実的である。具体的には、以下のような分類が考えられる。 

  • 日本から直接供給する項目 
  • ベトナムで加工・組立が可能な項目 
  • 国内サプライヤーと共同で開発できる部品 
  • 技術移転や現地生産投資に適した工程 

こうした構成要素別の検討により、初期投資リスクを抑えつつ、ベトナム鉄道のバリューチェーンへの段階的な参入が可能になる。 

技術移転と技術基準 

技術移転は、2026年の鉄道政策で明確に重視されている。 都市鉄道では、地方自治体に対し、プロジェクトの標準を選定する際に、オープン性、先進性、技術移転可能性を備えた基準を優先することが求められている。標準・技術基準体系についても、路線間の整合性や相互接続性を確保し、鉄道産業発展戦略との整合を図る方針である。 

南北高速鉄道についても、2026年4月の政府指示では、技術移転パートナーの選定に際して、ベトナムへの技術移転を前提条件とする方針が示されている。 これは、システム技術、信号、電化、安全管理、検査・保守、設備ライフサイクル関連技術を保有する日系企業にとって重要である。 

参入方法は技術販売だけではない。技術研修、プロセス標準化、運行ノウハウの移転、生産協力、ベトナム企業との共同能力開発なども選択肢となる。 

鉄道人材の育成 

国内の技術力を高めるためには、人材育成が不可欠である。 現在の政策では、技術移転と高度人材育成が一体で位置付けられている。さらに、ベトナム側には、日本を含む鉄道先進国の標準化・人材育成経験を研究することも求められている。

日系企業には、運転士や運行要員だけでなく、インフラ保守、電化、信号、安全管理、車両保守、運行管理などの専門分野でも協力余地がある。 

人材育成は建設段階だけで完結するものではない。供用開始後も、再教育、技術更新、技術管理人材の育成が必要となるため、中長期的な事業領域となり得る。 

運行・保守というライフサイクル市場 

鉄道は長期間利用される社会インフラであり、事業機会は設計、建設、初期設備供給だけに限定されない。 供用開始後も、インフラ、車両、電力、信号・制御システムについて、運行、点検、保守、更新が継続的に必要となる。 

科学技術省も、運行・保守を高速鉄道技術群の構成要素として位置付けている。 大規模鉄道ネットワークの運営経験を持つ日系企業にとって、技術コンサルティング、人材育成、保守プロセス移転、資産管理や設備ライフサイクル管理などが検討対象となる。 

合弁、戦略投資、M&A  

国内生産能力の強化が進めば、資本提携を通じた参入も選択肢になる。 自社ですべての能力を構築する代わりに、生産拠点、技術人材、顧客関係、加工能力などを持つベトナム企業と協力する方法である。 目的に応じて、技術提携、合弁、戦略投資、M&Aなどが考えられる。 

ただし、鉄道分野では、パートナー企業の規模だけでは判断できない。機械加工能力が高くても鉄道向けの技術基準を満たせるとは限らず、逆に規模が小さくても特定部品や工程に専門性を持つ企業は戦略的価値を持つ場合がある。 

JR東日本とベトナム鉄道の協力が示す日系企業の参加余地 

ベトナム鉄道総公社とJR東日本(JR East)の協力は、日系企業が設備供給以外の形でもベトナム鉄道市場に関与できることを示す事例である。 

ベトナム鉄道総公社によれば、両者の協力は1995年から続いており、主に人材育成と業務交流を中心としてきた。2026年7月までに、ベトナム側は延べ102人をJR東日本の研修に派遣している。

協力内容は研修だけではない。ベトナム側の幹部・職員はJR東日本を訪問し、組織再編、インフラ保守、人材育成、関連事業について学んできた。

2026年7月7日の会談では、ベトナム鉄道側がJR東日本および東日本鉄道文化財団に対し、特に鉄道の電化技術と高速鉄道技術に関する研修支援の継続を要請した。同日、両者は2026年の研修協力協定を締結している。この事例には二つの意味がある。 

  • 第一に、ベトナム側が必要としているのは有形資産だけではない。運行、保守、人材育成、システム管理などの実務経験も協力対象となっている。 
  • 第二に、人材分野での協力は、現地の技術・運行ニーズを理解する入口となり得る。ただし、この研修協力をもって、JR東日本や他の日系企業が具体的な鉄道案件に選定されたと解釈すべきではない。 

重要なのは、日本の鉄道運営や人材育成に関するノウハウについて、すでにベトナムとの実務的な協力基盤が存在している点である。 

Đuong Sat Viet Nam に基づきONE-VALUE作成 

https://vr.com.vn/tin-tuc–su-kien/dsvn–jr-east-duy-tri-hop-tac-dao-tao-phat-trien-nguon-nhan-luc.html

日系企業がベトナム鉄道産業への投資前に確認すべき点 

鉄道分野への投資規模が拡大しても、すべての企業に同じ参入機会が生まれるわけではない。 日系企業は、少なくとも以下の四点を確認する必要がある。 

現地化の優先対象 

現在の政策は、段階的な現地化と、国内能力に適した構造物・設備の生産能力形成を掲げている。 

したがって、比較的早期に国内生産が可能な分野と、引き続き海外技術・設備・国際パートナーを必要とする分野を分けて考える必要がある。 

自社能力に合う市場参入方式 

すべての企業が当初から工場建設や合弁を選ぶ必要はない。 

部品メーカーは設備輸出やサプライヤー開拓から始められる。システム・中核技術を持つ企業では、技術協力や技術移転を含む深い連携が必要になる可能性がある。運行・保守企業なら、人材育成、コンサルティング、事業主体・運営事業者との協力も考えられる。 

技術基準と現地パートナーの実力 

鉄道は安全性とシステム整合性への要求が高い。生産能力、認証、設備、品質管理、技術人材、プロジェクト実績などを慎重に評価する必要がある。 

都市鉄道については、ベトナム政府が路線間の整合性や相互接続性を重視し、標準・技術基準体系の整備を進めている。 

事業主体・運営事業者の実需 

政策は方向性を示すが、投資判断には具体的な需要確認が必要である。 

誰が購入主体なのか、誰が技術基準を決めるのか、請負業者をどのように選定するのか、どの部分を元請が担うのか、どの分野で直接参入できるのか、運行・保守・人材育成にはどのような実需があるのかを確認する必要がある。 

こうした点は、公開資料だけでは把握しにくい。専門家、業界企業、プロジェクト経験者へのヒアリングによる検証が重要となる。 

結論 

ベトナムは、インフラ整備だけでなく、ベトナム鉄道産業そのものの形成を進めようとしている。2026年の政策では、現地化、技術移転、標準、人材、運行、保守を国内能力形成の一連の課題として位置付けている。 

日系企業にとっては、設備・部品、技術移転、人材育成、運行・保守、資本提携など、複数の領域で中長期的な参入余地を検討できる。 

JR東日本とベトナム鉄道の協力では、1995年以降の人材交流に加え、2026年7月までに延べ102人が研修に参加し、同年には研修協力協定も締結された。日本の鉄道運営・人材育成ノウハウについて、すでに実務的な協力基盤が存在することを示す事例である。

一方、現地化はすべての構成要素の国内生産を意味しない。技術基準、調達・請負方式、技術移転条件、現地企業の能力などを分野別に確認する必要がある。 

そのため、投資判断の前には、市場調査、パートナー評価、業界関係者への直接ヒアリングを組み合わせることが重要である。 

ONE-VALUEは、ベトナム市場における日本企業の事業を専門に支援する戦略コンサルティング会社である。以下のサービスを通じて、貴社の取り組みに伴走する。 

  • 市場調査と有望分野の特定 : ONE-VALUEは、車両、設備、信号、電力、運行、保守、人材育成、現地化可能な項目などを分野別に調査する。鉄道市場を一括りに見るのではなく、自社の製品、技術、経験に適合する領域を特定することが目的である。 
  • パートナー探索・評価 : 目的に応じて、サプライヤー、機械・エンジニアリング企業、生産事業者、運営事業者、合弁・M&A候補などを探索する。企業概要だけでなく、工場能力、技術、人材、顧客、プロジェクト経験、協業意向まで確認することが重要となる。

お問い合わせはこちらから 

「調査の前に、まず現場の声を聞く。」 
それが、より早く、より確実な意思決定への第一歩である。 

参考資料: 

Chỉ đạo, điều hành của Chính phủ, Thủ tướng Chính phủ ngày 10/7/2026 

Chỉ đạo, điều hành của Chính phủ, Thủ tướng Chính phủ ngày 08/10/2026 (1) 

ĐƯỜNG SẮT ĐÔ THỊ – Báo Điện tử Chính phủ – Thông tin chính thống của Chính phủ nước CHXHCN Việt Nam trên Internet 

Hoàn thiện, ban hành Quy chuẩn kỹ thuật quốc gia đường sắt đô thị trong tháng 7/2026 

https://baochinhphu.vn/bo-sung-cong-nghe-duong-sat-toc-do-cao-duong-sat-do-thi-vao-nhom-10-cong-nghe-chien-luoc-quoc-gia-102260507102113566.htm

請求書決済 お振込での決済をご希望の方はこちら
カード決済(Stripe)をご希望の方はこちら

Vietbizの
会員サービスとは

VietBizの会員サービスは、ベトナムの最新のビジネストレンドと
戦略的な機会を把握し、ビジネスリーダーに向けた情報源です。
「無料会員」と「有料会員」でそれぞれプレミアムコンテンツにアクセスすることが可能です。

サービス紹介

NEW会員登録で800記事読み放題!

▶VietBizは5000社以上の日本企業が利用するベトナム特化のビジネス情報・業界レポートのWebメディア。
▶会員のみ文章や画像のコピー可能。資料への引用OK

詳細をみる詳細を見る
タイトルとURLをコピーしました