ベトナムの経済中心地であるホーチミン市は、次世代の高品質な外国直接投資(FDI)を誘致するため、従来の工業団地から「グリーン・生態系・スマート」な工業団地モデルへの転換を加速させている。ベトナム政府が掲げる「2050年までのネットゼロ(排出実質ゼロ)」公約を背景に、ESG(環境・社会・ガバナンス)の実践は、企業がグローバル・サプライチェーンから排除されないための必須要件となっている。PwCの2025年調査では、ベトナム企業の89%がESGへの取り組みを計画・実施しているものの、専門人材の不足や持続可能性データの活用に課題を抱えている実態が浮き彫りになった。

出典:Bao Nhan Dan
この動向における重要な鍵は「工業共生(インダストリアル・シンバイオシス)」モデルであり、企業間での資源共有を通じてエネルギーコストを10-20%、水の使用量を20-30%削減することが可能だ。成功事例として、国際基準の86%を達成したドンナイ省のアマタ(Amata)生態系工業団地が挙げられ、年間1,588トンのCO2削減を実現している。こうしたモデルは、欧州の炭素国境調整措置(CBAM)やEVFTA、CPTPPといった高度な自由貿易協定への対応を容易にし、グリーン金融へのアクセスを広げる。ホーチミン市が競争力を維持するためには、技術・環境・物流の統一基準を早期に確立し、FDI企業と国内中小企業の連携を深める「ソフト・ロジスティクス」への投資が不可欠である。
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