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ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し

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ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し

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2021年上半期のベトナム経済の振り返り

ベトナムは2020年のASEANにおいて、唯一プラスのGDP成長を遂げた国である。 2021年の最初の6か月のGDP成長率は5.64%増加し、2020年の最初の6か月の成長率1.82%よりも大幅に上昇した。ベトナムにおける新型コロナウイルスの流行は、2020年の4月末から始まっている。「感染予防と経済発展」という2つの目標は、ベトナムに多くの課題をもたらした。 しかし、今年の最初の6か月の経済動向は、コロナウイルスの影響がベトナムの経済に大きな損害を与えなかったことを示した。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:GDp成長率

各産業の概況

ベトナム政府は2020年3月末に、全国で「社会隔離措置」と呼ばれるロックダウンのような社会隔離措置の発効を決定した。この決定前の1週間での新規感染者数は10人程度だったため、ベトナム政府の判断は極めて迅速だったと言える。

そして、2020年5月以降、政府は感染状況が十分制御されていると判断し、飲食店の営業再開を許可した。その結果、 2021年第1四半期の飲食、サービス業の回復と成長に繋がった。

しかし、2021年の第2四半期には、デルタ株の登場により大規模な感染拡大が起こり、成長率が低下した。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:せうくたー別売上高
飲食・宿泊業界の落ち込みはベトナムでも顕著

個人消費の動向

2021年の最初の6か月の物価は、世界中で複雑化した新型コロナの感染状況に大きく影響された。2021年上半期のCPI(消費者物価指数)は、ガソリンや建設資材などの価格高騰の影響を受け、上昇した。しかし、娯楽施設・観光の需要は、新型コロナの影響を大きく受け、これらの分野のCPIは急激に低下した。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:上半期CPIの比較

しかし、ベトナムの場合、CPIは低下したものの多くの企業が操業再開しており、失業率にはほとんど変動が見られない。企業の操業再開のほとんどは、債務の返済期限を延長するというベトナム政府の支援政策がきっかけとなっている。

また、2020年の初めから今まで、ベトナム計画投資省傘下のSMEDF(中小企業開発基金)に、2つの銀行が新たに加入した。SMEDFはJICAなどの外国のパートナーと協力し、生産、人材育成、貿易を促進する活動を続けている。

この活動は、ベトナムの失業率の上昇を防ぐことに大きく寄与した。失業率が上昇しないということは、ある程度労働者の収入が維持され、市場全体の需給が安定しているとも言える。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:ベトナムでの失業率
コロナ拡大後も失業率は上昇していない。
ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:ベトナムでの事業の一時停止と再開の企業数
ロックダウンにつき、多くの企業が操業停止に追い込まれた。

2021年下半期のベトナム経済の見通し

2021年8月24日のWB(世界銀行)の発表によると、2021年下半期のベトナム経済は4.8%成長し、以前の予測と比較して2ポイント低下して6.6%に達するとの見通しである。 上記の予測は、ベトナム政府がより強硬的なロックダウンを行ったことを踏まえている。このロックダウンは必要な場合を除いて全ての人が家を出ることを禁止し、すべての飲食店や生活に必須でない店舗を休業させるものである。 これによって7月の小売業の売上高は、前年同月比19.8%減となった。

輸出

2021年初頭の輸出市場は、米国、中国などの国々がパンデミック後の需要増加に備えるために、輸入を増加させたことの影響を受けた。また、感染拡大の影響で”世界の工場”たる中国が多くの企業や工場を閉鎖したことを受け、多くの企業が生産拠点をベトナムに移した。 ​年初から8月までのベトナム全国の総輸出額は、2020年同時期比で22.86%増の3992.7億ドルに達した。

下半期の見通しとして、ベトナム政府は工場に対しては、条件付きで操業をするように促している。それにより、工場の操業コストが一時的に増加しているケースもあるが、ベトナムの足元を固めるために生産の維持は必須である。世界ではアメリカなど行動規制がかなり緩和されている国もあるので、そういった国の需要増加を受け、2021年下半期のベトナムの輸出は増加すると考えられる。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:図表
2021年の輸出は昨対比で増加

輸入

ベトナムの国内消費について、まずは年初から8月にかけての輸入が急増したことを紹介したい。 ベトナムの総輸入額は2020年と比較して34.3%増の201十億米ドルに達した。この中で最も増加した製品のグループは機械設備であり、前年度から35.9%増加した。

輸入に関しても、ベトナム国内で不足している必需品を補うことや感染拡大が抑制された後の需要増加を踏まえ、2021年下半期に増加すると考えられる。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:ベトナムでの大規模な商品グループの輸入額
2021年の輸入も昨対比で増加

個人消費

ベトナムにおける、6月から8月にかけての小売業界の収益は減少し、昨年の同時期と比較して34%以上減少した。しかし、宿泊・旅行業界は、前年同期比のマイナス成長からはまだ回復していない。また、感染状況が厳しくなり、ロックダウンが実施されると、小売業の売上は急激に減少した。

国内の自動車消費の状況を見ると、景気回復後の2021年3月から国内の自動車消費は急増したが、デルタ株による感染拡大の影響で徐々に成長が鈍化し、ロックダウンを受け自動車消費は減少に転じた。しかし、全体的な成長は、2020年の同時期と比較して依然としてプラスである。

個人の消費に関しても、都市部でのワクチン接種率が高いことや、農村部での行動規制の緩和など、ポジティブに捉えられる点が複数あり、ベトナム国内の消費市場がさらに大きく縮小するとは考えにくい。

ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:小売業界の売上高
個人消費も新型コロナ感染拡大につき落ち込んだ
ベトナム経済:2021年下半期の見通し:コロナ禍も回復兆し:自動車販売台数及び増減
自動車販売台数も落ちこんでいる

2021年後半と2022年のベトナム経済の見通し

2020年3月の世界的な感染拡大以降、各国の経済活動、特にASEAN地域の国々のGDP成長はすべてマイナスであるが、プラスの成長を達成しているのはベトナムだけである。「コロナの予防と経済発展」という2つの理想の両立に成功していると言えるだろう。この結果はベトナムに、国外からの多くの投資(FDI)を集めた。
ベトナムでは失業率上昇の阻止にも成功している。同時に中小企業の経営を支援しており、これは国内の経済を安定させるのに大きく寄与している。
ベトナム経済の2021年下半期の見通しに関して、金融機関はベトナムの経済成長は年初の見通しより鈍化すると予想するが、それでも依然、プラスの成長を継続する見込みである。
輸出に関しては各国の行動規制緩和を、輸入に関してはベトナム国内の足元の消費を固める意味合いで、輸出入ともに増加すると考えられる。
個人消費に関しては、国内でのワクチン接種や行動規制緩和が進んでいることが既に存在するポジティブな要素で、ベトナム国内の消費市場が大きく落ち込むことは無いと考えられている。

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